2022年9月3日土曜日

DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)について

精神疾患の診断基準には,DSMICDがありますが,社会福祉士の国家試験の出題基準で示されているのは,DSMです。

 

アメリカ精神医学会が作成したDSMは,これまでに何度も改訂され,現在は第5版であるDSM-5が用いられています。

 

DSM-5では,「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」というように表記されていますが,スラッシュの前後は,同じものです。

 

現場では,どちらかを使います。

 

疾患はたくさんあって,ここ5年をみてもバラバラの出題であることもあり,何を勉強したらよいのかと思う人も多いように思います。

 

必ず覚えておきたいのは,

・統合失調症

・うつ病

・双極性障害

 

の3つです。

 

それでは,今日の問題です。

 

27回・問題6 精神疾患の診断・統計マニュアルDSM-IVに基づく統合失調症の診断に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 妄想や幻覚は,陰性症状である。

2 まとまりのない会話あるいは発語は,症状の一つである。

3 症状は,発症から2週間で消失する。

4 仕事,対人関係,自己管理などの面での機能が低下することはない。

5 原因として,乱用薬物の摂取がある。

 

この問題は,まだDSM-5が出る前のDSM-Ⅳですが,過去問としてまだ使えます。

 

統合失調症は,次の症状が2つ以上あり,少なくともその症状が6か月以上持続していることで診断されます。

 

〈統合失調症の診断基準〉

・妄想

・幻覚

・まとまりのない発語

・ひどくまとまりのない,または緊張病性の行動

・陰性症状

 

正解は,選択肢2です。

 

2 まとまりのない会話あるいは発語は,症状の一つである。

 

それでは,これ以外を解説します。

 

1 妄想や幻覚は,陰性症状である。

 

統合失調症には,陽性症状と陰性症状があり,妄想や幻覚などは陽性症状です。

 

陰性症状は,意欲欠如などです。

 

3 症状は,発症から2週間で消失する。

 

統合失調症は,6か月以上症状が続くことで診断されます。

 

2週間で症状が消失することがないのは,勉強せずともおおよそわかるのではないでしょうか。

 

4 仕事,対人関係,自己管理などの面での機能が低下することはない。

 

これも勉強せずともおおよそわかるのではないでしょうか。

妄想などの陽性症状,意欲欠如などの陰性症状ともに社会面などにも影響します。

 

5 原因として,乱用薬物の摂取がある。

 

これも勉強せずともおおよそわかるのではないでしょうか。

乱用薬物の摂取でも幻覚を生じますが,それはまた別の精神疾患です。

 

もう1問です。

 

30回・問題6 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,「統合失調症」と診断するための5つの症状に含まれているものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。

1 まとまりのない発語

2 観念奔逸

3 強迫行為

4 抑うつ気分

5 不眠または過眠

 

27回の問題で出題されているように,正解は,選択肢1の「まとまりのない発語」です。

 

そのほかのものを整理します。

 

症状

主な疾患名

観念奔逸

双極性障害

強迫行為

強迫性障害

抑うつ気分

うつ病,双極性障害のうつ病エピソード

不眠または過眠

うつ病,双極性障害のうつ病エピソード

 

強迫行為とは,本人はその行為がムダだとわかっていてもやめられない症状です。

 

たとえば,手を洗い続ける,カギを閉めたか何度も確認することなどがあります。

 

治療には,薬剤に加えて,認知行動療法などが用いられます。

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