2022年9月19日月曜日

防衛機制(適応機制)とは

防衛機制(適応機制)を研究したのは,アンナ・フロイトです。


精神分析で知られるジークムント・フロイトの子どもです。


コーピングは,意識的に行うものであるのに対し,防衛機制は,無意識に行うものです。



それでは,今日の問題です。


第31回・問題11 防衛機制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 父から叱られ腹が立ったので弟に八つ当たりした。これを置き換えという。

2 攻撃衝動を解消するためにボクシングを始めた。これを補償という。

3 苦手な人に対していつもより過剰に優しくした。これを投影という。

4 飛行機事故の確率を調べたら低かったので安心した。これを合理化という。

5 失敗した体験は苦痛なので意識から締め出した。これを昇華という。


知識があいまいだと正解するのは難しい問題です。


それでは,解説です。


1 父から叱られ腹が立ったので弟に八つ当たりした。これを置き換えという。


これが正解です。置き換えの例として,八つ当たりがあることを覚えておきたいです。


2 攻撃衝動を解消するためにボクシングを始めた。これを補償という。


これは,昇華のことを述べたものです。

補償は,苦手なものを得意なもので補うことです。


3 苦手な人に対していつもより過剰に優しくした。これを投影という。


これは,反動形成のことを述べたものです。


4 飛行機事故の確率を調べたら低かったので安心した。これを合理化という。


これは,知性化のことを述べたものです。


5 失敗した体験は苦痛なので意識から締め出した。これを昇華という。


これは,抑圧のことを述べたものです。


もう一問です。


第26回・問題13 クライエントの行動特徴と防衛機制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 大学生B男さんは,女性Cさんに心を惹かれ強い衝動を抱いたが,Cさんに対しては恋愛や女性の職業の自由について高尚な考えを述べた。これは転換と考えられる。

2 保育園児のD子ちゃんは,不安感に脅かされているが,しばしば自分は強くて万能な人間だというファンタジーを作り出す。これは同一化と考えられる。

3 不登校中の中学生E男さんは,学校に行けない理由として「眠れなかったから」とか,「朝,熱が出たから」と言ったりする。これは投影と考えられる。

4 5歳児のF男ちゃんは,弟が生まれ母親が弟に付きっきりになったとき,とっくにやめていた指しゃぶりをまた始めた。これは昇華と考えられる。

5 父親に対する憎しみの感情を抑えた高校生のG男さんは,ときに父親に対して極端な気遣いや過剰な配慮を示すことがある。これは反動形成と考えられる。


この頃は,まだ問題の文字数が多い時代です。文字数が多くても試験時間は変わらないので,受験生にとっては大変です。


この当時は,最後まで解けなかったという受験生が多く出た時代です。

その辺りからだんだん文字数が減っていきましたが,近年はまた増加しています。


そのため,また問題が最後まで解けなかったという人も出てきているようです。

問題を確実に,しかも早く読むということはとても難しいものです。


それでは,解説です。


1 大学生B男さんは,女性Cさんに心を惹かれ強い衝動を抱いたが,Cさんに対しては恋愛や女性の職業の自由について高尚な考えを述べた。これは転換と考えられる。


これは,知性化のことを述べたものです。転換は,心理的な問題が身体症状を引き起こすものです。


2 保育園児のD子ちゃんは,不安感に脅かされているが,しばしば自分は強くて万能な人間だというファンタジーを作り出す。これは同一化と考えられる。


これは打消のことを述べたものです。

同一化は,自分の好きなアイドルや尊敬する人のまねをすることで欲求を満たすことです。


3 不登校中の中学生E男さんは,学校に行けない理由として「眠れなかったから」とか,「朝,熱が出たから」と言ったりする。これは投影と考えられる。


これは,合理化のことを述べたものです。


投影は,受け入れがたい自分の感情などをほかの人の感情などと思って攻撃することです。


たとえば,「Aさんは私のことを嫌っている」と思う場合,実は「私がAさんのことを嫌っている」のかもしれません。


これが投影です。


4 5歳児のF男ちゃんは,弟が生まれ母親が弟に付きっきりになったとき,とっくにやめていた指しゃぶりをまた始めた。これは昇華と考えられる。


これは,退行のことを述べたものです。


昇華は,社会では受け入れられないものを社会で受け入れられるものに置き換えることで欲望を満たすものです。


例えば,人を攻撃したいという欲望をボクシングで満たすといったものが昇華の例です。


5 父親に対する憎しみの感情を抑えた高校生のG男さんは,ときに父親に対して極端な気遣いや過剰な配慮を示すことがある。これは反動形成と考えられる。


これが正解です。


〈今日の一言〉


防衛機制の中では,反動形成,補償,置き換え,投影など,言葉から意味を推測しにくいもものが多くあります。


だからこそ,出題されるのだと思います。


こういったものを確実に正解することこそが合格に必要です。

最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事