遊戯療法は,国家試験の出題に従えば,言葉で表現できない深い感情や複雑な問題状況を表現できる特性があり,遊びそれ自体を自分自身のありのままの表現ととらえるものです。
ジークムント・フロイトの娘であるアンナ・フロイトが遊戯療法の創始者の一人です。
そこから,精神分析の影響を受けていることが推測できると思います。
精神分析療法では,自由連想法を用いて無意識の領域に追いやられているものを開いて,治療していきます。
遊戯療法は,子どもなど言葉の発達が十分ではない人に,自由連想法の代わりに,遊び(遊戯)を用いて,無意識の領域にあるものを表現してもらいます。
それでは,今日の問題です。
第24回・問題14 心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 遊戯療法は,言葉で表現できない深い感情や複雑な問題状況を表現できる特性があり,遊びそれ自体を自分自身のありのままの表現ととらえる。
2 心理教育は,過去の対人関係における自己の態度や行動を経時的,多面的,客観的に調べることによって真実の自己を発見するための技法である。
3 認知行動療法では,自分のからだに感じられる感覚に注意を向け,そこから未形成の意味を表出していく過程が重視される。
4 心理劇は,物事についての認知のあり方をクライエントとともに検討することを通じて,非適応的な行動の修正や問題解決を行う。
5 芸術療法は,言語心理面接において一定の手続を用いてクライエントをイメージ過程に導き,その芸術体験を治療的に利用する方法である。
社会福祉士の国家試験では珍しく「心理教育」が出題されています。
考えてみれば,社会福祉士が心理療法を行うことはほとんどないのに出題しているわけですから,心理教育を出題しても何らおかしくはないのでしょう。
心理教育は,心理的な問題を持つ人,あるいは家族に対する「患者教育」です。
必要な情報を提供します。
それでは,解説です。
1 遊戯療法は,言葉で表現できない深い感情や複雑な問題状況を表現できる特性があり,遊びそれ自体を自分自身のありのままの表現ととらえる。
前説のとおり,これが正解です。
2 心理教育は,過去の対人関係における自己の態度や行動を経時的,多面的,客観的に調べることによって真実の自己を発見するための技法である。
過去の対人関係における自己の態度や行動を経時的,多面的,客観的に調べることによって真実の自己を発見するための技法は,おそらく内観療法のことを述べているものでしょう。
3 認知行動療法では,自分のからだに感じられる感覚に注意を向け,そこから未形成の意味を表出していく過程が重視される。
自分のからだに感じられる感覚に注意を向け,そこから未形成の意味を表出していく過程が重視されるのは,フォーカシングと呼ばれる心理療法です。
4 心理劇は,物事についての認知のあり方をクライエントとともに検討することを通じて,非適応的な行動の修正や問題解決を行う。
物事についての認知のあり方をクライエントとともに検討することを通じて,非適応的な行動の修正や問題解決を行うのは,認知行動療法です。
心理劇(サイコドラマ)は,筋書きのないドラマをクライエントに演じてもらう集団で行う心理療法です。
5 芸術療法は,言語心理面接において一定の手続を用いてクライエントをイメージ過程に導き,その芸術体験を治療的に利用する方法である。
言語心理面接において一定の手続を用いてクライエントをイメージ過程に導き,その芸術体験を治療的に利用する方法というのは,特に何かを指しているものではないです。
芸術療法は,音楽,絵画などを用いる心理療法の総称です。
わけの分からない文章で受験者を混乱させるような出題は,やめてもらいたいものです。