心理療法はたくさんありますが,社会福祉士の国家試験で日本生まれの心理療法が出題されるのは,森田療法,内観療法,(臨床)動作療法です。
森田療法は,不安があってもそれを「あるがままに」受け入れるように支援するものです。
「臥褥期」
「軽作業期」
「作業期」
「社会復帰期」
という段階を踏むのが特徴です。
内観療法は,身近な人にしてもらったこと,迷惑をかけたことを年代順に振り返ります。
動作療法は,動作療法は,動作と心はつながっていると考えて,動作を通して心理に働きかけるものです。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題-14 心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
これは,すぐ答えがわかるでしょう。
正解は,選択肢4です。
4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
森田療法の神髄をそのまま出題してくれています。
しかし,国家試験では,そのやり方を出題されることがあるので,注意が必要です。
特に「臥褥期」は森田療法の重要ポイントです。
洗面・食事・排泄以外は,ずっと横になっているのが,臥褥期です。
それでは他の解説です。
1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
自動思考とは,何かの出来事に直面したとき,自分の意志と関係なく浮かんでくるものをいいます。
この自動思考を修正することを目的としているのは,認知行動療法です。
2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
応用行動分析は,環境が行動に影響を与えると考え,問題となる行動の前後を分析することで,行動を変化させるものです。
無意識に焦点を当てるのは,精神分析療法です。
3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
認知行動療法は,学習理論を応用して認知や行動を変容させるものです。
パーソナリティの変容は目的としないので,アイデンティティを確認することはありません。
5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
ブリーフセラピーは,過去よりも未来に焦点を当てて介入します。
ブリーフセラピーも認知行動療法と同じように,パーソナリティの変容は目的としません。
ブリーフセラピーでは,精神分析療法のように問題の原因を探して治療するのでなく,問題を解決できることに焦点をおきます。
そのため,未来に焦点を当てるということになります。過去に焦点を当てるのは,精神分析療法です。