障害者総合支援法の障害福祉サービスは,介護給付と訓練等給付に分類されます。
介護給付を希望する際には,障害支援区分認定を受けます。
訓練等給付を希望する際には,共同生活援助(グループホーム)で介護が必要である場合を除いて障害支援区分認定を受ける必要がありません。
訓練等給付があるのが,介護保険サービスとの違いです。
訓練等給付の特徴には,暫定支給という仕組みがあることです。
暫定支給の仕組みを活用して,実際に利用してみて,本人の意見などを聴いて,それでよければ本支給となります。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題59 「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 共生型サービスは,障害児が健常児と共に学校教育を受けるための支援を行うものである。
2 行動援護は,介護保険の給付を受けることができる者でも必要に応じて利用できる。
3 就労移行支援の利用には,障害支援区分の認定が必要である。
4 生活介護を利用する場合は,暫定支給決定が行われる。
5 障害児に関するサービスの利用者負担は不要である。
(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
障害福祉サービスとして,「行動援護」,「就労移行支援」「生活介護」が出題されています。
この3つのうち,訓練等給付は「就労移行支援」,介護給付は「行動援護」と「生活介護」です。
障害支援区分認定が必要なもの
・行動援護
・生活介護
障害支援区分認定が必要ではないもの
・就労移行支援
暫定支給の仕組みがあるもの
・就労移行支援
暫定支給の仕組みがないもの
・行動援護
・生活介護
これで障害福祉サービスの利用について,見えてくるものがありませんか。
介護給付は,暫定支給の仕組みがない代わりに,障害支援区分認定を受けて必要なサービスを決定する。
訓練等給付は,障害支援区分認定を受けない代わりに,暫定支給の仕組みがある。
特に,訓練等給付を利用する際に,障害支援区分認定を受けない理由が見えてくるように思います。
それでは解説です。
1 共生型サービスは,障害児が健常児と共に学校教育を受けるための支援を行うものである。
介護保険サービス事業者が障害福祉サービスの指定を取りやすくする。
あるいは,障害福祉サービス事業者が介護保険サービスの指定を取りやすくする。
そのことによって,介護保険サービスと障害福祉サービスを一体的に提供することが可能です。
2 行動援護は,介護保険の給付を受けることができる者でも必要に応じて利用できる。
これが正解です。
共生型サービスは,介護保険サービス事を受けている人が65歳になると障害福祉サービスに切り替えることが発端となりました。
今までに利用してきた障害福祉サービスと同等なサービスが介護保険サービスになかった場合,引き続き,障害福祉サービスを利用します。
介護保険サービスには行動援護と同等なサービスがないので,引き続き障害福祉サービスを利用します。
3 就労移行支援の利用には,障害支援区分の認定が必要である。
就労移行支援は,訓練等給付なので,障害支援区分認定は必要ありません。
4 生活介護を利用する場合は,暫定支給決定が行われる。
生活介護は,介護給付なので,算定支給はありません。
5 障害児に関するサービスの利用者負担は不要である。
障害者総合支援法は,障害者を18歳以上と規定していますが,障害児でも利用することができるサービスがあります。
そういったサービスを利用した場合,利用者負担があります。