2023年4月21日金曜日

各国の社会保障制度~イギリス

世界で初めて社会保険制度を成立させたのは,19世紀末のドイツです。


イギリスは,20世紀初頭に世界初の失業保険を成立させています。


医療保障は,国によって特徴が出やすく,その違いは覚えておくことが大切です。


イギリスの医療保障制度の特徴は,税を財源とする国民保健サービス(NHS)があることです。


基本的に無料で医療を受けることができます。


とても良い制度のように思うかもしれませんが,決まったGP(総合診療医)で受診しなければならないため,いつも混雑し,緊急性のないものは,何か月も待たされることがあります。


それを嫌う人は,民間医療保険に加入する人もいます。

これだと自分で医療機関を選んで診療を受けることができます。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題55 諸外国における医療や介護の制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 アメリカには,全国民を対象とする公的な医療保障制度が存在する。

2 イギリスには,医療サービスを税財源により提供する国民保健サービスの仕組みがある。

3 フランスの医療保険制度では,被用者,自営業者及び農業者が同一の制度に加入している。

4 ドイツの介護保険制度では,介護手当(現金給付)を選ぶことができる。

5 スウェーデンには,介護保険制度が存在する。


正解を2つ選ぶ問題です。1つはすぐわかると思いますが,もう1つが手ごわいです。


それでは,解説です。


1 アメリカには,全国民を対象とする公的な医療保障制度が存在する。


アメリカは,全国民を対象とする公的医療保険制度はありません。


低所得者を対象とする「メディケイド」

高齢者・障害者等を対象とする「メディケア」


それ以外の人は,民間の医療保険に加入します。


2 イギリスには,医療サービスを税財源により提供する国民保健サービスの仕組みがある。


これが1つめの正解です。


3 フランスの医療保険制度では,被用者,自営業者及び農業者が同一の制度に加入している。


フランスの医療保険制度は,職域ごとに異なる制度があるのが特徴です。

ドイツも同様です。


4 ドイツの介護保険制度では,介護手当(現金給付)を選ぶことができる。


これがもう1つの正解です。


日本はドイツの介護保険を参考にして作りましたが,異なる部分がいくつかあります。


ドイツの介護保険の特徴

・介護手当がある。

・0歳から被保険者となる。

・障害者も対象とする。

・財源は保険料のみで,税は使われていない。 など


もし日本もドイツを見習っていたら,介護離職があっても生活ができて,財源ももっと安定していたのではないかと思います。


5 スウェーデンには,介護保険制度が存在する。


スウェーデンは,高福祉高負担の国として知られます。


介護も医療も社会保険方式ではなく,社会扶助方式で提供されています。

ただし,年金は,低所得者を除き,社会保険制度が採用されています。

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