社会福祉士の国家試験の出題の特徴は,細かい数字は問わないことです。
数字を覚えるのが得意な人は,細かい数字まで覚えても良いと思いますが,細かい数字を覚えれば覚えるほど,その知識はすぐ古くなります。
勉強の途中で新しい報告書などが出ると,どの数字を覚えると良いのか迷う人がいますが,細かい数字は問わないことがわかっていれば,それに迷うことはありません。
さらに言えば,年度によって順位が変わっているものは,近年では出題されていません。
1位のものと2位のものが入れ替わった時は,どちらを覚えたらよいのか,と迷いますが,それは出題されることはほぼないので,安心すると良いです。
たとえば,地方財政の目的別支出の構成比です。
令和3年度では,都道府県で最も大きいのは,商工費となっています。
以前は,教育費が最も多くなっていました。
新型コロナウイルス感染症対策のために,飲食店への休業要請したことは記憶に新しいことでしょう。その際に支出した協力金のために商工費が都道府県の1位に踊り出ました。
年度によって順位が変わるものは出題されないという傾向に従えば,「都道府県で最も多いのは商工費である」という出題はされにくいと考えます。
その代わりに考えられるのは,「都道府県においては,民生費よりも教育費が大きい」という出題です。
これなら,今までの傾向どおりの出題です。
さて,今日のテーマは「雇用保険の育児休業給付」です。
少子化対策は,喫緊の課題となっていることもあり,国家試験でも出題したいことでしょう。
しかし,給付率は出題しにくいのではないかと思います。現時点(2023年4月)では,180日までは67%,181日以降は50%となっています。
本気で育児休業を取ってもらいたいなら,育児休業以前と同じ水準の所得補償が必要ではないでしょうか。
ということで,今後は変わる可能性があります。
本当はトピックに関係することはこの学習部屋には書きたくないところです。なぜなら,トピックを取り上げると情報がすぐ古くなるからです。
今回,取り上げたのは,ムダな勉強を避けてほしいからです。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題51 雇用保険制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保険者は,都道府県である。
2 基本手当は,自己の都合により退職した場合には受給できない。
3 教育訓練給付は,被保険者でなくなった者は受給できない。
4 雇用継続給付には,高年齢雇用継続給付,育児休業給付及び介護休業給付がある。
5 雇用保険の保険料は,全額事業主が負担する。
この問題は,今となって正解がないものとなっています。
その理由は,選択肢4です。
4 雇用継続給付には,高年齢雇用継続給付,育児休業給付及び介護休業給付がある。
この時点では,これが正解でしたが,育児休業給付は,雇用継続給付から独立した給付となり,雇用保険の制度体系が変わりました。
そのため,現在の雇用継続給付は,「高年齢雇用継続給付」と「介護休業給付」の2つで構成されます。
それでは,ほかの選択肢を解説します。
1 保険者は,都道府県である。
雇用保険の保険者は,政府です。
2 基本手当は,自己の都合により退職した場合には受給できない。
雇用保険の基本手当は,失業した際に給付される失業等給付の最も基本的な給付です。
自己の都合によって退職しても給付されます。
3 教育訓練給付は,被保険者でなくなった者は受給できない。
教育訓練給付は,技能をつけるための訓練を受けるためにかかる費用の一部を給付するものです。
被保険者でなくなっても1年以内なら給付されます。
被保険者でなくなったら給付されないなら,失業等給付の意味がなくなります。
5 雇用保険の保険料は,全額事業主が負担する。
現在の雇用保険の体系は,以下のようになっています。
・失業等給付
・育児休業給付
・雇用保険二事業
保険料は,失業等給付と育児休業給付は労使折半,雇用保険二事業は事業主が負担します。