求職者支援制度は,雇用保険を受給できない人などが,職業訓練受講給付金の給付を受けながら,無料の職業訓練を受講することができる制度です。
雇用保険制度を補完する制度なので,当然ながら雇用保険を受給できる人は対象になりません。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題54 雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 基本手当は,受給資格者が労働基準監督署において失業の認定を受けることにより支給される。
2 基本手当は,被保険者が転居や結婚など自己の都合により退職した場合には支給されない。
3 公共職業安定所(ハローワーク)で紹介された就職先の賃金がその地域の同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準と比べて不当に低いときには,就業を拒否しても基本手当は支給される。
4 基本手当の給付日数は被保険者期間に応じて定められており,倒産や解雇などの離職理由は考慮されない。
5 基本手当の受給を終了し,受給資格を有しない者は,「求職者支援法」に基づく職業訓練受講給付金の対象者となることができない。
さすがは,魔の第25回国試と呼ばれるだけのことはあります。かなりの難問です。
今日のテーマである「職業訓練受講給付金」は選択肢5で出題されています。
5 基本手当の受給を終了し,受給資格を有しない者は,「求職者支援法」に基づく職業訓練受講給付金の対象者となることができない。
制度がわからなければ,かなりドキドキしそうな文章ですが,よくよく読んでみるとこれはおかしな制度となっていることに気づくことができます。
多くの場合,法制度は,重ならないようになっています。
この場合だと,基本手当 + 職業訓練受講給付金となって,重なってしまっています。
通常は,ある制度の対象とならない者が,別の制度の対象となるようになっています。
この場合は,基本手当を受給できない者が職業訓練受講給付金となるということです。
法制度は,重ならないように作られるという基本は,絶対に押さえておきたいです。
それでは,ほかの選択肢も解説します。
1 基本手当は,受給資格者が労働基準監督署において失業の認定を受けることにより支給される。
雇用保険の現業機関は,公共職業安定所です。
労働基準監督署は,労災保険などの現業機関です。
2 基本手当は,被保険者が転居や結婚など自己の都合により退職した場合には支給されない。
これまでに何度も登場してきましたが,基本手当は自己の都合による退職でも支給されます。
3 公共職業安定所(ハローワーク)で紹介された就職先の賃金がその地域の同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準と比べて不当に低いときには,就業を拒否しても基本手当は支給される。
これが正解です。
この問題が出題されて,公共職業安定所に紹介された就職先への就業を拒否すると基本手当は支給されないということを知りました。
賃金が不当に低いところを拒否できないというのはひどすぎます。制度を知らずとも正解できる可能性のある選択肢だったと言えるでしょう。
4 基本手当の給付日数は被保険者期間に応じて定められており,倒産や解雇などの離職理由は考慮されない。
倒産や解雇などの離職理由の場合は,自己の都合による離職よりも長期間,基本手当を受給できます。
自己の都合と異なり,次の就職先を探す準備期間が短いためです。