2023年4月17日月曜日

児童扶養手当について

児童扶養手当は,児童扶養手当法に基づく制度です。

 

同法では,児童扶養手当の趣旨として以下のように規定されています。

 

(児童扶養手当の趣旨)

第二条 児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるものであつて、その支給を受けた者は、これをその趣旨に従つて用いなければならない。

2 児童扶養手当の支給を受けた父又は母は、自ら進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならない。

3 児童扶養手当の支給は、婚姻を解消した父母等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度又は内容を変更するものではない。

 

近年の国家試験ではなぜか,法の目的が出題されるようになってきています。

 

しかし,そのようなものが出題されたとしても対応は十二分に可能です。

 

かつて,児童扶養手当の趣旨について,出題されたことがあります。

 

児童扶養手当の支給は、婚姻を解消した父母等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度又は内容を変更するものではない。

 

これは,児童扶養手当が受給できるから養育費を支払わなくて良いという意味ではない,という意味です。

 

さて,本日の問いです。

 

児童手当の支給認定を行うのは,市町村長です。

 

それでは,児童扶養手当の支給認定を行うのは,市町村長でしょうか? 都道府県知事でしょうか?

 

児童手当,児童扶養手当,特別児童扶養手当のうち,最も普遍的なのは児童手当です。

 

児童扶養手当と特別児童扶養手当は,一人親あるいは障害という特別ニーズに対応するための制度です。

 

現在は,離婚数が多いので,一人親は決して特別なことではありませんが,児童手当に比べると受給者が少ないでしょう。

 

特別児童扶養手当も,児童手当に比べる受給者が少ないでしょう。

 

今日の問いの答えですが,児童扶養手当の支給認定を行うのは,都道府県知事と指定都市の長です。特別児童扶養手当の支給認定も同様です。

 

規模や性質を考えてみると,何となく理由がわかるのではないでしょうか。

 

お待たせしました。それでは,今日の問題です。

 

22回・問題51 我が国の社会保障制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 民間被用者に関する児童手当には,事業主の拠出金がある。

2 健康保険及び国民健康保険には,事業主の負担がある。

3 児童扶養手当の支給は,婚姻を解消した父等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度を軽減する。

4 児童手当制度は,所得制限が設けられていない普遍的給付である。

5 児童手当制度は,第2子から支給される。

 

児童扶養手当の趣旨は,選択肢3で出題されています。

 

それでは,解説です。

 

1 民間被用者に関する児童手当には,事業主の拠出金がある。

 

これが正解です。

 

民間被用者に関する児童手当には,事業主の拠出金があります。

 

2 健康保険及び国民健康保険には,事業主の負担がある。

 

これはなかなかユニークな問題です。

 

健康保険には,事業主の負担があります。

 

しかし,国民健康保険は,事業主の負担はありません。

 

被用者でも収入が少ないと国民健康保険の対象にはなりますが,自営業者,無職の人は事業主がいないので,負担することができません。

 

3 児童扶養手当の支給は,婚姻を解消した父等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度を軽減する。

 

前説に書いたように,児童扶養手当の支給は,婚姻を解消した父等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度を軽減しません。

 

4 児童手当制度は,所得制限が設けられていない普遍的給付である。

 

現時点の児童手当制度には,所得制限があります。

 

しかし,今後はわかりません。

 

5 児童手当制度は,第2子から支給される。

 

現在の児童手当は,第1子から支給されます。

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