労災保険は,ほかの社会保険制度と異なり,被保険者という概念がありません。
労働者であれば,労災保険の給付が受けられます。
さて,今日のテーマは「アルバイトは労災保険の給付は受けられるか?」です。
もうわかったと思いますが,アルバイトであっても労災保険の給付は受けられます。
賃金の支給を受けている者であれば,どんな人でも労災保険の給付の対象となります。
それでは今日の問題です。
第24回・問題52 事例を読んで,労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさんは,飲食店を開くために会社を設立し,正社員としてMさんを雇用したほか,開業当初の手伝いのためにアルバイトとしてNさんを雇った。
1 Mさんが,店に出勤する途中で事故に遭い,けがをしてしまった場合,これは業務上の事故ではないので,労災保険から給付は受けられない。
2 Nさんが,皿洗いをしている最中に,グラスで手を切ってしまった場合,Nさんはアルバイトなので,労災保険の給付は受けられない。
3 Lさんは,飲食店の経営者であり,労働者ではないが,労災保険に任意で加入することができる。
4 Lさんに頼まれ,Mさんが近くのスーパーに足りなくなった食材を買いに行く途中で事故に遭った場合,店から離れてしまったので,労災保険の給付は受けられない。
5 Mさんが仕事の最中に包丁で指を切ってしまったが,Lさんが労災保険の保険料を滞納していた場合,Mさんは,労災保険の給付を受けることはできない。
この問題の正解は,選択肢3です。
3 Lさんは,飲食店の経営者であり,労働者ではないが,労災保険に任意で加入することができる。
労災保険は,労働者保護の制度ですが,Lさんのように経営者であっても「特別加入制度」によって加入することができます。
それでは,正解以外も解説します。
1 Mさんが,店に出勤する途中で事故に遭い,けがをしてしまった場合,これは業務上の事故ではないので,労災保険から給付は受けられない。
労災には,業務災害と通勤災害があります。
Mさんの事故は,通勤災害にあたるので保険給付されます。
2 Nさんが,皿洗いをしている最中に,グラスで手を切ってしまった場合,Nさんはアルバイトなので,労災保険の給付は受けられない。
これが今日のテーマです。今までに何度も繰り返し出題されてきました。
労働者(賃金の支給を受ける者)であれば,労災保険の対象となります。
極端なことを言えば,不法就労の外国人であっても労災保険の給付は受けられます。
4 Lさんに頼まれ,Mさんが近くのスーパーに足りなくなった食材を買いに行く途中で事故に遭った場合,店から離れてしまったので,労災保険の給付は受けられない。
職場から離れても,業務中の事故であれば,労災保険の給付を受けられます。
5 Mさんが仕事の最中に包丁で指を切ってしまったが,Lさんが労災保険の保険料を滞納していた場合,Mさんは,労災保険の給付を受けることはできない。
これは,前回取り上げた「労災保険の保険料を事業主が滞納していたらどうなる?」です。
https://fukufuku21.blogspot.com/2023/04/blog-post_4.html
滞納中に労災が発生した場合でも,通常のように保険給付されます。
労災保険は労働者保護の制度です。
事業主の都合によって,労災保険の給付が受けられないということがあれば,労働者保護になりません。