2023年4月11日火曜日

雇用保険の就職促進給付

雇用保険は以下のような体系となっています。



  

今日のテーマは,就職促進給付です。

 

就職促進給付は,上記の表でわかるように「就業促進手当」「移転費」「求職活動支援費」があります。

 

 

就職促進給付の名称の通り,就職を促進させるための給付です。

 

それでは,今日の問題です。

 

27回・問題52 雇用保険などの給付に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 新規学卒者が就職できない場合には,失業者に該当し,雇用保険の被保険者でなくても基本手当を受給することができる。

2 一般被保険者は,離職して厚生労働大臣指定の教育訓練講座を修了しなければ,教育訓練受講給付金を受給することができない。

3 一般被保険者である父母が,同一の子について育児休業を取得する場合,それぞれ必要な被保険者期間を満たしていれば,両方の者が育児休業給付金を受給できる。

4 基本手当を所定給付日数分,残さず受給して再就職した場合,就業促進手当を受給することができる。

5 雇用保険の被保険者でない者は,「求職者支援法」による職業訓練受講給付金を受給することができない。

 

今日のテーマに関連するものは,選択肢4にあります。

 

4 基本手当を所定給付日数分,残さず受給して再就職した場合,就業促進手当を受給することができる。

 

前説では就業促進手当の内容は,詳しくは書きませんでした。

 

この選択肢が正解なのか,誤りなのか,推測できますか?

 

この選択肢の文章は,

 

基本手当の所定日数分を受給すると就業促進手当が受給できます。

 

別な言い方をすると,基本手当の所定日数分まで至らないうちに就職が決まって,働きだすと就業促進手当は受給できません。

 

これでは,就業は促進されるどころか,基本手当は受給してから就業したいと思う人が生まれてしまうでしょう。

 

これは何ともおかしなことになります。こんな変なことになってしまうのは,この選択肢は正しくないからです。

 

正しくは,就業促進手当は,基本手当の所定日数分を受給しないで就職した場合に受給できる,です。

 

これなら納得でしょう。

 

それでは,そのほかの解説です。

 

1 新規学卒者が就職できない場合には,失業者に該当し,雇用保険の被保険者でなくても基本手当を受給することができる。

 

雇用保険法が規定する「失業」とは,被保険者が離職して,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態にあることをいいます。

 

そのため,就職先が決まらずに大学等を卒業して無業状態である者は失業とはいいません。

 

2 一般被保険者は,離職して厚生労働大臣指定の教育訓練講座を修了しなければ,教育訓練受講給付金を受給することができない。

 

教育訓練給付金は,教育訓練給付の指定講座を受講する際に受講料の一部を給付するものです。

 

被保険者は離職せずとも要件を満たせば受給できます。

 

余談ですが,受給する際,キャリアコンサルタントからキャリアコンサルティングを受けなければなりません。

 

離職者がキャリアコンサルティングを受けるのは意味があることだと思いますが,現職者がキャリアコンサルティングを受けるのは意味がないように思います。

 

国家資格であるキャリアコンサルタントの職域拡大の一環かもしれませんが,少々ムダではないかと思ってしまいます。 

 

3 一般被保険者である父母が,同一の子について育児休業を取得する場合,それぞれ必要な被保険者期間を満たしていれば,両方の者が育児休業給付金を受給できる。

 

これが正解です。

 

育児休業給付は,父母のどちらかが受給しているともう一方が受給できないということはありません。

 

両方が受給できます。

 

 

5 雇用保険の被保険者でない者は,「求職者支援法」による職業訓練受講給付金を受給することができない。

 

求職者支援制度は,雇用保険制度を補完するための法制度です。

 

「求職者支援法」による職業訓練受講給付金を受給することができるのは,雇用保険の失業等給付が受給できない者です。

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