厚生労働省から
第31回社会福祉士国家試験の施行について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000171154_00008.html
が発表されて,さらに受験の手引きも届き,国試に向けて気合いが入ってきたところだと思います。
国試までの6か月は,短いようですが,実際にはとても長い期間です。
決して焦らず,落ち着いて集中できれば,合格をつかむだけの時間はあります。
多くの人にそう言えるのは,この時点までです。
一日中勉強できる環境にある人ならいざ知らず,一般的には,勉強を始める時期が遅くなれば遅くなるだけ,合格できる確率が下がっていきます。
今日も「今日の問題」をお休みして,国試について考えてみようと思います。
さて,今日のテーマは「社会福祉士の国試に関する都市伝説(デマ)」です。
今まで聞いたことがあるものをまとめてみました。
ソ教連(日本ソーシャルワーク教育学校連盟)の模試は,国家試験を作っている先生が作っているらしい
ソ教連(日本ソーシャルワーク教育学校連盟)は,社養協(日本社会福祉士養成校協会),精養協(日本精神保健福祉士養成校協会)などが合併してできた団体です。
どこから,こんなデマが出るのかは分かりませんが,国家試験の試験委員は,国家試験対策にかかわる仕事は一切できません。
過去には,試験副委員長だった先生が,試験委員になる前に過去問解説本を書いていたことが問題となり,辞任に追い込まれたことがあります。
ソ教連の模試は,過去に試験委員だった人でさえ一切担当していません。
ソ教連模試の試験委員
https://www.spw-mosi.com/exam/pages/moshigaiyou
第31回社会福祉士国家試験の施行について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000171154_00008.html
で国試の試験委員が発表されていますが,それと比べてみても当然同じ人の名前はありません。
ソ教連(日本ソーシャルワーク教育学校連盟)の模試から,国家試験の問題が出題される。
このデマは,ある研修講師が受講生に対して言ったものです。
この当時は,まだ社養協の時代でした。
1月の直前対策だったこともあり,この言葉を聞いた受講生は焦り,まだ残っていた社養協模試を慌てて購入しました。
当然,そこから重点的に出題されるはずはありません。
かけた時間が無駄になりました。
直前には新しいことをやっては絶対にだめです。最後の総仕上げをする時。
その時期に,新しいものを購入して勉強するのは,試験対策としては絶対にやってはいけないことです。
ソ教連は,社会福祉士等を養成する学校の集まりですが,民間団体です。
その年の国試に直結するような特別な情報を持ち合わせているはずはありません。
因みに,第30回国試に向けた模試の平均点は,第29回に比べて5点も下がっています。
問題の傾向をもし知っていたなら,実際の国試結果と真逆になるような平均点にはならないはずです。
この反省をもとに,第31回対策用の模擬試験問題がどのように修正されるのか注目したいところです。
受験生は,試験前はとてもナーバスになります。
それを知ってか知らずか,無神経な発言をする試験対策講師には,憎しみさえも抱いています。
<今日のまとめ>
受験生の中で広がる「〇〇らしい」
はほとんど信用性の低いものです。
一番多いのは
「〇〇が出題されるらしい」
だと思います。
社会福祉士の国試は,出題範囲が広いことが特徴です。
予測してそこが当たることもあるかもしれません。
しかし,いわゆる「ヤマをはって」絞り込んだ勉強で合格できるものではありません。
今必要なのは,確実に一つひとつ覚えていくことです。ヤマをはることではありません。
それができた人は必ず合格基準点を超えることができます!!
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