2018年8月15日水曜日

知的障害者福祉法の徹底理解

知的障害者福祉法は,児童福祉法に規定される児童福祉施設に入所する児童が成人になっても利用できる施設の創設を目的に1960(昭和35)に精神薄弱者福祉法として成立したものです。

同法では,都道府県に対して,知的障害者更生相談所の設置を義務づけています。

知的障害者更生相談所は,専門的な知識及び技術を必要とする相談・指導業務,医学的・心理学的・職能的判定業務などを実施します。

また,療育手帳の判定・交付を行います。

市町村は,障害福祉サービスにかかる支給を決定する際,特に専門的な知見が必要な場合には知的障害者更生相談所に意見を求めます。市町村はその意見をもとに支給を決定します。

これらの仕組みは,身体障害者更生相談所と同じです。

まとめて押さえておきましょう。

それでは,今日の問題です。

第30回・問題62 知的障害者更生相談所の業務などに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 緊急時に知的障害者の一時保護を行う。

2 知的障害者の医学的,心理学的及び職能的判定を行う。

3 成年後見人の選任を行う。

4 社会福祉士を配置しなければならない。

5 精神保健福祉士を配置しなければならない。

答えは,選択肢2ですね。

ほかの選択肢はそんなに難しくないので,正解率は高かったのではないでしょうか。

問題の作られ方は第31回もおそらく一緒だと思いますが,間違い選択肢にはもう少し引っかかりそうな選択肢が配置されるはずです。

どんな問題であっても正解選択肢は奇をてらったものにはならないはずですから,基本を押さえれば,絶対に正解できます。

それでは,一応ほかの選択肢も見ていきましょう。


1 緊急時に知的障害者の一時保護を行う。

緊急時の一時保護が業務にあるのは,児童相談所です。よって間違いです。

児童相談所で実施する一時保護は原則2か月以内で実施されます。


3 成年後見人の選任を行う。

成年後見人の選任は,家庭裁判所の職権で行います。よって間違いです。

職権で選任した者は,職権で解任することができます。


4 社会福祉士を配置しなければならない。
5 精神保健福祉士を配置しなければならない。

知的障害者更生相談所に配置されるのは,知的障害者福祉司です。


<今日の一言>

知的障害者更生相談所と身体障害者更生相談所は,内容がそっくりです。どちらも巡回相談を行うのも同じです。

対象が知的障害者か身体障害者であるかの違いです。

ついでに身体障害者更生相談所も覚えてしまいましょう。

実際に,全国の自治体では半数以上が両更生相談所の所在地が一緒になっており,施策上も一体的になっているところが多いようです。

気を付けなければならないのは,身体障害者手帳は法で規定されているものであるのに対し,療育手帳は通知に基づいて交付されています。

その関係で,名称も判定基準も自治体によって違いがあります。

知的障害者福祉司と身体障害者福祉司の任用資格について述べて今日を締めくくりたいと思います。

社会福祉士は両福祉司の任用資格があり,実務経験がなくても社会福祉士であれば両福祉司に任用されます。

これは児童相談所に設置される児童福祉司も同様です。

三福祉司に社会福祉主事が任用されるためには,それぞれの福祉に関して2年間以上の実務経験が必要とされます。

社会福祉士が必置となっている基幹は現時点では介護保険法に規定される地域包括支援センターしかありませんが,実は任用に関しては,国家資格である社会福祉士はかなり高いところに位置付けされているのです。


※この投稿は本来,8/14に投稿予定だったものですが,都合により一日ずれました。

ご期待されていた方にはお詫びいたします。

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