今回も相談支援を続けます。
障害者の相談支援は,2種類あります。
覚えていれば,ものすごく単純なのです。しかし,逆にしっかり押さえないと混乱の元になります。
前回のものを読んでいない方は,ここで確認しておいてください。
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/08/blog-post_11.html
さて,それでは改めて今日の問題です。
第29回・問題59 「障害者総合支援法」に規定されている特定相談支援事業として行うこととされているものを2つ選びなさい。
1 基本相談支援
2 障害児相談支援
3 地域移行支援
4 地域定着支援
5 計画相談支援
これが今の国試です。
知識ゼロなら,絶対に解けません。
日本語的に解ける,ということは絶対にありません。
今の国試問題は,文章的なほころびが出ないように,文章がどんどん短くなり,とうとう文章ではない問題が出題されるようになってきました。
知識がある人は解ける
知識がない人は解けない
日本語の言い回しでけむに巻くようなものはありません。
知識がある人は解ける
知識がない人は解けない
国試の正しい姿だと思っています。
今日の問題は,いかにも解ける人は解ける。
解けない人は解けない問題です。
答えは,選択肢1の基本相談支援と選択肢5の計画相談支援です。
選択肢2の障害児相談支援は,児童福祉法に規定され,指定障害児相談支援事業者が行います。
選択肢3と選択肢4は,指定一般相談支援事業者が行う地域相談支援です。
<今日のまとめ>
国家試験は,難しそうに感じているかもしれません。
実際に簡単な試験ではないことは確かです。
合格率が30%というのは,本当に厳しい数字です。
しかし,問題一つひとつを見ていくと,決して深い問い方はしていません。
得点するのに必要なことは,基本的なものを確実に,そしてしっかり押さえていくことです。
<相談支援で必要な知識>
地域相談支援 → 指定一般相談支援事業者 → 指定は都道府県
計画相談支援 → 指定特定相談支援事業者 → 指定は市町村
このほかに,児童福祉法に規定される障害児相談支援があります。
内容は計画相談支援とほぼ同じですが,計画相談支援は通所と入所を利用する場合,どちらも場合も利用するのに対し,障害児相談支援は,通所の場合のみ利用し,入所の場合は利用しない点です。
障害児の入所の場合は,親と離れることを意味するので,高度な判断が求められるので,児童相談所が行うためです。
市町村が指定する指定障害児相談支援事業者では,荷が重すぎます。
最新の記事
成年後見人の職務
成年後見人の職務は,身上監護と財産管理です。 法務省の資料によると,それぞれ以下のように説明しています。 身上監護とは,ご本人の生活や健康の維持,療養等に関する仕事です。例えば,ご本人の住まいの確保,生活環境の整備,施設に入所する契約,...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
システム理論は,「人と環境」を一体のものとしてとらえます。 それをさらにすすめたと言えるのが,「生活モデル」です。 エコロジカルアプローチを提唱したジャーメインとギッターマンが,エコロジカル(生態学)の視点をソーシャルワークに導入したものです。 生活モデルでは,クライエントの...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
様々なアプローチが第31回国試までに出題された回数を整理すると以下のようになります。 アプローチ名 出題回数 ・心理社会的アプローチ 9 ・機能的アプローチ 4 ・問題解決アプローチ ...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
ソーシャルワークは, ケースワーク グループワーク コミュニティワーク(コミュニティオーガニゼーション) とそれぞれの専門領域で発展していきました。 ソーシャルワークの統合化とは,それらのソーシャルワークとしての共通基盤を明確にすることを意味しています。 そのきっかけとなったのが...
-
今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。 第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。 エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。 それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は...
-
リッチモンドは,「人と環境」について ソーシャル・ケース・ワークは,「人と社会環境との間を個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる過程」である。 と述べています。 リッチモンドがこう述べたのは,1922年のことです。 しかしその後,「個」...