身体障害者福祉法
精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)
精神保健福祉法
の3つがあります。
さて,今回は身体障害者福祉法を押さえていきましょう。
まずは,各法における定義を整理してみましょう。
身体障害者
身体上の障害がある18歳以上の者であって,都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた者。
知的障害者
規定なし。
精神障害者
統合失調症,精神作用物質による急性中毒又はその依存症,知的障害,精神病質その他の精神疾患を有する者。
定義上,障害者手帳の交付を受けた者に限定しているのは,身体障害者福祉法のみです。
知的障害者には療育手帳,精神障害者には精神障害者保健福祉手帳がありますが,それらの交付を受けても受けなくても知的障害者は知的障害者,精神障害者は精神障害者であるのとは対照的です。
これは,身体障害者福祉法は,職業的リハビリテーションを目的に成立したところにつながっています。
同法制定によって,身体障害者更生援護施設の設置が国に義務付けられました。
その時に規定された身体障害者更生援護施設には,①身体障害者更生指導施設,②中途失明者更生施設,③身体障害者収容授産施設,④義肢装具製作施設,⑤点字図書館,⑥点字出版施設,があります。
身体障害者更生援護施設は,2006年改正によって,「身体障害者社会参加支援施設」と変更されて,現在は,身体障害者福祉センター,補装具製作施設,盲導犬訓練施設,視聴覚障害者情報提供施設となっています。
それでは今日の問題です。
【24-132改】 身体障害者福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。(現在の制度に合わせて,一部改変)
1 市町村は,援護の実施責任者の観点から,身体障害者の福祉に関する必要な情報の提供を当該市町村以外の一般相談支援事業者等に委託することはできない。
2 都道府県が設置する身体障害者更生相談所並びに市町村が設置する福祉事務所には,身体障害者福祉司を置かなければならない。
3 身体に障害のある15歳未満の者の保護者が身体障害者手帳の交付を受けた場合,本人が満15歳に達したときは,保護者は身体障害者手帳を都道府県知事に返還しなければならない。
4 身体障害者福祉法における障害の認定において,両眼の視野がそれぞれ20度以内のもので永続するものは視覚障害に該当する。
5 身体障害者社会参加支援施設とは,身体障害者福祉センター,補装具製作施設,盲導犬訓練施設及び視聴覚障害者情報提供施設をいう。
答えは,すぐわかることでしょう。
選択肢5が正解です。
身体障害者社会参加支援施設は,身体障害者福祉センター,補装具製作施設,盲導犬訓練施設,視聴覚障害者情報提供施設の4種類です。身体障害者福祉法が制定された時に国に設置が義務付けられた「身体障害者更生援護施設」が2006年改正で身体障害者社会参加支援施設と変更されています。
それでは他の選択肢も見ていきましょう。
1 市町村は,援護の実施責任者の観点から,身体障害者の福祉に関する必要な情報の提供を当該市町村以外の一般相談支援事業者等に委託することはできない。
委託することはできます。よって間違いです。
2 都道府県が設置する身体障害者更生相談所並びに市町村が設置する福祉事務所には,身体障害者福祉司を置かなければならない。
身体障害者福祉法によって身体障害者更生相談所は都道府県に設置が義務付けられています。そして身体障害者福祉司が配置されます。
市町村の設置する福祉事務所に身体障害者は任意設置です。
よって間違いです。
3 身体に障害のある15歳未満の者の保護者が身体障害者手帳の交付を受けた場合,本人が満15歳に達したときは,保護者は身体障害者手帳を都道府県知事に返還しなければならない。
障害児は,身体障害者手帳の交付がなくても児童福祉法によって障害児サービスを利用することができます。しかし,交付を受けると,割引サービスなどが受けられます。
そのため,障害児であっても交付を受けることができます。
15歳未満の場合は,保護者が手帳を保管しますが,15歳になると本人に渡さなければなりません。よって間違いです。
4 身体障害者福祉法における障害の認定において,両眼の視野がそれぞれ20度以内のもので永続するものは視覚障害に該当する。
障害認定では,両眼の視野がそれぞれ10度以内です。よって間違いです。
<今日の一言>
今日の問題は,全体に難しいです。
しかし,実は障害者に対する支援と障害者自立支援制度は,「障害者総合支援法」が中心であり,それらの法が独立して出題されたことはほとんどありません。
身体障害者福祉法 → 1問
知的障害者福祉法 → 1問
精神保健福祉法 → 1問
児童福祉法 → 3問
発達障害者支援法 → 1問
障害者基本法 → 2問
といった具合で,極めて出題が少ないことがわかると思います。
あとは,手帳に関する問題が2問
定義に関する問題が1問
基本は,障害者総合支援法
それ以外は,それほど掘り下げてこないので,基本ポイントをしっかり押さえておくことです。
必須のポイントは
定義と手帳です。