2018年8月5日日曜日

障害者総合支援法の整理~障害支援区分

法制度は,その適用範囲を明確に定めるところに特徴があります。

そうでなければ法を適切に運用することができないからです。

障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスには,大きく分けると介護給付と訓練等給付があります。

介護給付の利用を希望する場合は,障害支援区分認定を受けなければなりません。

訓練等給付の利用を希望する場合は,障害支援区分認定は基本的に受けなくても利用できます。

「基本的に」というのは,訓練等給付の一つである共同生活援助(グループホーム)で身体介護を必要とする場合は,障害支援区分認定が必要だからです。

これはおそらく障害者自立支援法の時に存在していた介護給付の一つである共同生活介護(ケアホーム)を障害者総合支援法で共同生活援助に一元化した時の名残ではないかと思います。

さて,今日のテーマは,障害支援区分です。

介護給付を利用する場合,障害支援区分認定を受ける必要があるのは,介護給付のサービスは,障害支援区分で〇以上という線引きがなされているためです。

1~6まであり,最も重度なのは6です。

介護給付は,9種類しかないためなのか,障害支援区分の問題は比較的頻繁に出題されています。

居宅介護 1以上

行動援護 3以上

同行援護 視覚障害であり,同行援護アセスメント表に該当すれば利用可

重度訪問介護 4以上

重度障害者等包括支援 6

生活介護 3以上(施設入所する場合は4以上)
 ※50歳以上の場合は,2以上(施設入所する場合は3以上)

療養介護 6(ALSで気管切開で人工呼吸器利用している場合),筋ジスの場合は5以上

短期入所 1以上

施設入所支援 生活介護利用者は4以上(50歳以上の場合は,3以上)


それでは,今日の問題です。


第27回・問題57 「障害者総合支援法」における障害福祉サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 視覚障害者に対する同行援護は,障害支援区分2以上の者が対象である。

2 50歳以上の者に対する生活介護は,障害支援区分2(障害者支援施設に入所する場合は区分3)以上の者が対象である。

3 居宅介護や重度訪問介護において,一定の研修を修了した介護職員が,医師の指示の下で喀痰吸引と摘便を実施できるようになった。

4 医療型短期入所は,医療機関及び医師の常動配置のある障害者支援施設において実施できる。

5 重度の肢体不自由者のみが対象であった重度訪問介護は,行動障害を有する障害支援区分3以上の者も利用できるようになった。


勉強不足の人はまったく解けませんが,勉強していても解きにくい極めて難易度が高い問題の一つでしょう。

しかしポイントはあります。

それでは解説です。


1 視覚障害者に対する同行援護は,障害支援区分2以上の者が対象である。

同行援護は,介護給付の中でもちょっと変わっていて,視覚障害であり,同行援護アセスメント表に該当すれば利用可です。障害支援区分認定は受けなければなりませんが,〇以上はされていません。

よって間違いです。


2 50歳以上の者に対する生活介護は,障害支援区分2(障害者支援施設に入所する場合は区分3)以上の者が対象である。

これが正解です。50歳未満の場合は,3以上,施設入所する場合は4以上です。

年齢によって違うのは,生活介護のみです。


3 居宅介護や重度訪問介護において,一定の研修を修了した介護職員が,医師の指示の下で喀痰吸引と摘便を実施できるようになった。

摘便は医療的ケアではなく,医療行為なので実施できません。よって間違いです。


4 医療型短期入所は,医療機関及び医師の常動配置のある障害者支援施設において実施できる。

短期入所には,福祉型と医療型があり,医療型は,病院,診療所,介護老人保健施設で実施します。よっ間違いです。


5 重度の肢体不自由者のみが対象であった重度訪問介護は,行動障害を有する障害支援区分3以上の者も利用できるようになった。

重度訪問介護は,4以上です。

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