今回が行政手続法の最終回です。
マニアック問題で締めくくりたいと思います。
第15回・問題67 行政手続や情報公開に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 行政手続法では,行政庁は,不利益処分をなすに当たって,当該処分の相手方からの請求に基づき,あらかじめ実施される処分の内容,根拠,理由などを通知しなければならないことになっている。
B 地方公共団体が行う行政指導については,行政手続法が適用されない。
C 行政機関の保有する情報の公開に関する法律では,日本国民のみならず,外国人にも開示請求権が認められている。
D 申請により求められた許認可をするかどうかを判断するために,行政手続法上,定めることを求められている基準は,行政内部で用いる基準であるため,公表しなくともよいとされている。
(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D
今はないスタイルの問題です。
問題文は4つです。今より1つ少ないです。
更に言えば,本来組み合わせは6通りです。
4×3÷2=6通り。
しかし,選択肢は5つ。
ADの組み合わせはありません。
正しいものを2つ選ぶ問題は今も存在します。
5×4÷2=10通りもあります。
それでは解説です。
A 行政手続法では,行政庁は,不利益処分をなすに当たって,当該処分の相手方からの請求に基づき,あらかじめ実施される処分の内容,根拠,理由などを通知しなければならないことになっている。
これが正解かどうか分からなければ△をつけておきます。
結論を言えばこれは正解ではありません。
正解ではない理由は,不利益処分を行う前には,国民の権利として,意見陳述を行う機会が設けられているからです。
とても分かりにくいですが間違いです。
B 地方公共団体が行う行政指導については,行政手続法が適用されない。
この問題ではこの選択肢が最も難しいです。
これが正解かどうか分からなければ△をつけておきます。
結論を言えばこれは正解です。
法第3条第2項で
地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
と規定しているからです。マニアックすぎます。
今なら絶対にこんな出題はしません。
C 行政機関の保有する情報の公開に関する法律では,日本国民のみならず,外国人にも開示請求権が認められている。
結論を言えばこれは正解です。
これが正解かどうか分からなければ△をつけておきます。
外国人に対する基本的人権は,制限を受けることが記載されている場合のほかは適用されると考えられています。
D 申請により求められた許認可をするかどうかを判断するために,行政手続法上,定めることを求められている基準は,行政内部で用いる基準であるため,公表しなくともよいとされている。
法の内容が分からなくても,「公表しなくともよい」と規定されるわけがありません。
これは×をつけられるでしょう。
ということで,答えは,3のBCでした。
<今日の一言>
今日のような問題の出題スタイルは,現在はありませんが,一つ×をつけられれば,選択肢は限られます。
今日の問題であれば,Dを一つ消去できただけで
4 B D
5 C D
の2つは消去できます。
残るは
1 A B
2 A C
3 B C
の3つ。正解できる確率は33%です。
現在の出題スタイルの正解を2つ選ぶ問題の組み合わせは10通りなので,1つ消去できても正解できる確率は11%にしかなりません。
旧スタイルであれば,1つ消去では,3問に1問当たる確率ですが,現スタイルでは9問に1問しか当たりません。
2つ消去した場合は,旧スタイルでは正解できます。
現スタイルでは,2つ消去できても67%の確率でしか正解できません。
昔の出題スタイルと現在の出題スタイルでは,確実に勉強法は違います。
あいまいな知識だと正解しにくいのです。
チームfukufuku21は,そのことを知っているので,3か月の勉強で合格できるとは言いたくないのです。
しかし今日のようなマニアックな問題は絶対に出題されないので,基礎力をコツコツつけてきた人はちゃんと正解できるようになっています。
そのような人は自信を持ってくださいね。努力は必ず報われますよ。
最新の記事
キャプランによる予防の概念
人名は覚える必要はありませんが,危機理論を提唱したキャプランは,予防の概念である予防モデルを提唱しています。 今日では,広くさまざまな分野で用いられています。 予 防モデル 一次予防 問題を発生させないこと。 ...
過去一週間でよく読まれている記事
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
今日から新年度です。 気持ちを新たにスタートです。 当学習部屋を開設以来,ほぼ毎日新しい情報を出して来ました。 ずっとご覧になっていた方は,間が空いたことが不思議に思ったでしょう。 実は,今年の国家試験が終わったところから,ペースを変えて,2日に1回にしようと計画していました。 ...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
前回まで, ①役割期待 ②役割距離 を紹介してきました。 そのうちの②役割距離は,ちょっと難しい概念でしたが,理解できましたでしょうか。 役割距離とは, 人は役割期待に対して,ちょっと距離を置いた行動をとること。 理解しきれていない人は,もう一度前回を確...
-
ICFで用いられる用語の定義 健康状態 疾病,変調,傷害など 心身機能 身体系の生理的機能(心理的機能を含む) 身体構造 身体の解剖学的部分 ...
-
福祉事務所を設置しなければならないのは,都道府県と市です。 町村の設置は任意です。 現時点(令和3年)で福祉事務所を設置している町村は,全国で 45 町村にとどまります。 福祉事務所を設置していなくても,町村には役割・機能があります。 ...