2018年12月8日土曜日

行政手続法の徹底理解~その4

今回が行政手続法の最終回です。

マニアック問題で締めくくりたいと思います。


第15回・問題67 行政手続や情報公開に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 行政手続法では,行政庁は,不利益処分をなすに当たって,当該処分の相手方からの請求に基づき,あらかじめ実施される処分の内容,根拠,理由などを通知しなければならないことになっている。

B 地方公共団体が行う行政指導については,行政手続法が適用されない。

C 行政機関の保有する情報の公開に関する法律では,日本国民のみならず,外国人にも開示請求権が認められている。

D 申請により求められた許認可をするかどうかを判断するために,行政手続法上,定めることを求められている基準は,行政内部で用いる基準であるため,公表しなくともよいとされている。

(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D

今はないスタイルの問題です。

問題文は4つです。今より1つ少ないです。

更に言えば,本来組み合わせは6通りです。

4×3÷2=6通り。

しかし,選択肢は5つ。

ADの組み合わせはありません。

正しいものを2つ選ぶ問題は今も存在します。
5×4÷2=10通りもあります。

それでは解説です。


A 行政手続法では,行政庁は,不利益処分をなすに当たって,当該処分の相手方からの請求に基づき,あらかじめ実施される処分の内容,根拠,理由などを通知しなければならないことになっている。

これが正解かどうか分からなければ△をつけておきます。

結論を言えばこれは正解ではありません。

正解ではない理由は,不利益処分を行う前には,国民の権利として,意見陳述を行う機会が設けられているからです。

とても分かりにくいですが間違いです。

B 地方公共団体が行う行政指導については,行政手続法が適用されない。

この問題ではこの選択肢が最も難しいです。

これが正解かどうか分からなければ△をつけておきます。

結論を言えばこれは正解です。

法第3条第2項で

地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。

と規定しているからです。マニアックすぎます。

今なら絶対にこんな出題はしません。


C 行政機関の保有する情報の公開に関する法律では,日本国民のみならず,外国人にも開示請求権が認められている。

結論を言えばこれは正解です。

これが正解かどうか分からなければ△をつけておきます。

外国人に対する基本的人権は,制限を受けることが記載されている場合のほかは適用されると考えられています。


D 申請により求められた許認可をするかどうかを判断するために,行政手続法上,定めることを求められている基準は,行政内部で用いる基準であるため,公表しなくともよいとされている。

法の内容が分からなくても,「公表しなくともよい」と規定されるわけがありません。

これは×をつけられるでしょう。

ということで,答えは,3のBCでした。


<今日の一言>

今日のような問題の出題スタイルは,現在はありませんが,一つ×をつけられれば,選択肢は限られます。

今日の問題であれば,Dを一つ消去できただけで

4 B D
5 C D

の2つは消去できます。

残るは

1 A B
2 A C
3 B C

の3つ。正解できる確率は33%です。

現在の出題スタイルの正解を2つ選ぶ問題の組み合わせは10通りなので,1つ消去できても正解できる確率は11%にしかなりません。

旧スタイルであれば,1つ消去では,3問に1問当たる確率ですが,現スタイルでは9問に1問しか当たりません。

2つ消去した場合は,旧スタイルでは正解できます。
現スタイルでは,2つ消去できても67%の確率でしか正解できません。

昔の出題スタイルと現在の出題スタイルでは,確実に勉強法は違います。

あいまいな知識だと正解しにくいのです。

チームfukufuku21は,そのことを知っているので,3か月の勉強で合格できるとは言いたくないのです。

しかし今日のようなマニアックな問題は絶対に出題されないので,基礎力をコツコツつけてきた人はちゃんと正解できるようになっています。

そのような人は自信を持ってくださいね。努力は必ず報われますよ。

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