2018年12月1日土曜日

不服申立制度の徹底理解~その1

行政処分に対して,不服を申し立てるのが「不服申立制度」です。

福祉サービス等に対してではありません。

この科目で,不服申立てが出題されたのは,

第22回
第24回
第26回

の3回だけですが,他の科目でもほぼ毎回出題されるのでしっかり押さえておきたいです。

第24回の問題です。

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/12/25.html

それでは今日の問題です。

第22回・問題72 事例を読んで,Jさんの対応に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

〔事 例〕
 Jさんは,要介護1の認定を受け,現在,介護保険事業者の通所介護を週2回利用している。だがJさんは,この要介護認定に不満を感じており,また,実際に受けているサービス内容も,契約内容と違うことに不満を感じている。

1 Jさんは,介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。

2 Jさんは,国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で,苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。

3 Jさんは,契約どおりのサービスの履行を求めて,事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。

4 Jさんは,要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。

5 Jさんは,行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。

整理しておけば,そんなに難易度は高くはないでしょう。

それでは解説です。



1 Jさんは,介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。

これは間違いです。

介護保険サービスに不満がある場合は,国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てます。

都道府県におかれる介護保険審査会は,要介護認定等の行政処分に対して不服を申し立てる機関です。


2 Jさんは,国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で,苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。

これも間違いです。

介護保険サービス等の苦情の申立ては国民健康保険団体連合会に対して行うのは正解です。

しかし,国保連が行うのは,指導&助言であり,あっせんは行いません。


3 Jさんは,契約どおりのサービスの履行を求めて,事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。

これも間違いです。

介護保険サービス等に不満がある場合は,不服申立てではなく,国保連に苦情申立てを行います。


4 Jさんは,要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。

これが正解です。

要介護認定は,行政処分です。苦情申立て機関は,都道府県に設置される介護保審査会です。


5 Jさんは,行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。

これは間違いです。

法制度によっては,不服申立てを経ることなく行政訴訟を提起できるものがありますが,介護保険や生活保護は,不服申立て(審査請求)を経た後でなければ行政訴訟を提起できない審査請求前置主義をとっています。


<今日の一言>

行政処分への不満 → 不服申立て
サービスへの不満 → 苦情申立て

不服申立て機関はそれぞれ整理しておきましょう。

苦情申立ては,

介護保険サービスは,国保連

社会福祉サービスは都道府県社協に設置される運営適正化委員会

です。

そのほかの科目で出題されたものも確認しておきたいです。

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/12/25.html

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