2020年8月9日日曜日

ソーシャルワーク系の事例問題で間違わない方法

 

事例問題には,以下のタイプがあります。

 

事例問題のタイプ

 ①ソーシャルワーク系の問題

 ②制度系の問題

 

 

今回は,「①ソーシャルワーク系の問題」への対策です。

 

事例問題を解くうえで,絶対に忘れてはならないことは,設問の中にある「条件」です。

 

多くの場合,「この時点において」といった場面を限定しているものです。

 

将来的には適切であっても「この時点において」適切ではないものは正解になりません。

 

問題文の中に,その手がかりとなるものが必ずあります。

 

逆に問題文の中にないのに,勝手に「こうだろう」と情報を付け加えて判断してはなりません。問題を解くためのポイントがボケます。

 

それでは,今日の問題です。

 

29回・問題74 事例を読んで,この時点において,Jさんに対する医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Jさん(40歳,女性)は正社員で,病院で重症筋無力症の初期(重症度I)と診断された。現在の症状はごく軽度で仕事に支障はないが,医師からは,進行性疾患なので,今後のことを院内の医療福祉相談室で相談するよう勧められた。Jさんは,医療ソーシャルワーカーに今後も今の仕事を継続したいと話した。

1 傷病手当金の申請手続きを勧める。

2 介護保険制度の要介護認定の手続きを開始する。

3 職場環境や仕事内容を考慮して療養を支援する。

4 身体障害者手帳取得の手続きを開始する。

5 公共職業安定所(ハローワーク)で転職先を探すよう助言する。

 

この事例の中に記述されているポイントは

 

医師は「現在の症状はごく軽度で仕事に支障はない」と言っている。

本人は「今後も今の仕事を継続したい」と希望している。

 

これに合うのは,

 

3 職場環境や仕事内容を考慮して療養を支援する。

 

しかありません。極めて明確です。

 

もし引っ掛かるとしたら,

4 身体障害者手帳取得の手続きを開始する。

 

でしょう。

 

なぜこれに引っ掛かる人がいると思うのかと言うと,「医師からは,進行性疾患なので,今後のことを院内の医療福祉相談室で相談するよう勧められた」という表現があるからです。

 

「進行性疾患」と「今後のこと」から,将来の病態を想像してしまいます。

 

しかし,この問題で問われているのは「現時点において」の支援です。

将来のための支援ではありません。

 

ほかの選択肢も確認します。

 

1 傷病手当金の申請手続きを勧める。

 

傷病手当金は,医療保険に規定される所得補償です。

 

もし今後,働けなくなって仕事を休むことがあった場合に視野に入れるものでしょう。

Jさんは,休業中かどうかの記述がありません。

 

2 介護保険制度の要介護認定の手続きを開始する。

 

重症筋無力症は,難病法の指定難病です。しかし,介護保険法の特定疾病ではありません。

40歳のJさんが介護保険サービスを利用する場合は,介護保険法が規定する特定疾病である必要があるからです。

 

5 公共職業安定所(ハローワーク)で転職先を探すよう助言する。

 

Jさんは,「今後も今の仕事を継続したい」という希望があります。

 

それにもかかわらず,転職を勧めるのは最も不適切なものです。

もし,この選択肢を本気で選ぶとしたら,もう一回,ソーシャルワークを一から勉強し直した方が良いです。

それでも,この選択肢を選ぶとしたら,社会福祉士になるのはやめた方が良いと思ってしまうようなものでしょう。

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