今回から科目は「相談援助の基盤と専門職」に変わります。
社会福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に定められる国家資格です。
一度は必ず目を通しておきたいです。
2020年8月時点で,同法の最も新しい改正は,社会福祉士に関する欠格条項の変更です。
改正前 |
被後見人と被保佐人は社会福祉士及び介護福祉士になることができない |
↓ ↓ |
|
改正後 |
心身の故障により社会福祉士又は介護福祉士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの |
それでは今日の問題です。
第29回・問題91 社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士の名称使用は,登録後でなければならない。
2 業務を行うに当たっては,クライエントの主治医の指導を受けなければならない。
3 専門性の維持・向上を目的として,資格更新研修を受けなければならない。
4 所属する勤務先の立場を優先して業務を行わなければならない。
5 資質向上の責務として,相談援助に関わる後継者の教育指導に努めなければならない。
社会福祉士及び介護福祉士法に関する問題は,出題されてもオーソドックスな内容なので,確実に得点しなければなりません。
この問題もそうです。
正解は,選択肢1です。
1 社会福祉士の名称使用は,登録後でなければならない。
合格しても,登録されるまで社会福祉士を名乗ると名称詐称となるので注意が必要です。
社会人の中には,雇用保険の専門実践教育訓練給付制度を利用されている方もいることでしょう。
学校卒業後,1年以内に目的となる資格を取得するとさらに2割が給付されますが,社会福祉士の場合,合格通知が届いたことをもってOKなのか,登録証が届いたことをもってOKなのか,地域のハローワークによって見解が異なるようです。
法律上は,登録されて資格取得になりますが,対象となる方はハローワークに聞いてみると良いかもしれません。早く給付された方がよいですものね。
それではほかの選択肢を確認します。
2 業務を行うに当たっては,クライエントの主治医の指導を受けなければならない。
クライエントの主治医の指導を受けなければならないと規定されているのは,精神保健福祉士です。
介護福祉士の場合は,以下のように規定されています。
診療の補助として、医師の指示の下に、特定行為(喀痰吸引等のうち当該認定特定行為業務従事者が修了した次条第二項に規定する喀痰吸引等研修の課程に応じて厚生労働省令で定める行為をいう。以下同じ。)を行うことを業とすることができる。
という規定があります。社会福祉士には,指示も指導もなく,連携を図ると規定されているのにとどまります。
3 専門性の維持・向上を目的として,資格更新研修を受けなければならない。
社会福祉士も介護福祉士も精神保健福祉士も資格更新制度はありません。
4 所属する勤務先の立場を優先して業務を行わなければならない。
社会福祉士は,常にその者の立場に立って,誠実にその業務を行わなければならないという誠実義務があります。
5 資質向上の責務として,相談援助に関わる後継者の教育指導に努めなければならない。
資質向上の責務は「社会福祉を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため,相談援助等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない」です。
後継者の教育指導についての責務の法規定はありません。