調査票の配布と回収に関する出題は,第25回,第26回,第28回,第29回,第30回に出題されています。
直近2回では出題されていません。
もしかすると出題するのが飽きてしまったのかもしれません。
しかし,出題頻度が高いことには変わりはないので,確実に覚えておきたいです。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題87 社会調査における調査票を用いた方法に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 郵送調査は,回答者が十分に時間をかけて回答することができるため,質問項目数の上限がないというメリットがある。
2 集合調査は,特定の団体が集まる会合の場で実施できるため,代表性のある標本を確保しやすいというメリットがある。
3 電話調査は,近年,固定電話に加え,携帯電話を持つ人が増えてきたため,回収率が高いというメリットがある。
4 留置調査は,調査票を配布したその場で回答がなされないため,他の方法に比べて回収率が低いというデメリットがある。
5 インターネット調査は,インターネット上で調査対象者を公募する場合,代表性の偏りが生じるというデメリットがある。
メリットが3つ
デメリットが2つ
の問題です。
できれば,メリット,あるいはデメリットで統一して出題してほしかったと思います。
そうすれば,同じような問題でも難易度が上がります。
それでもメリットとデメリットで出題してきたので,そこそこのレベルの問題だと言えるでしょう。
表現がばらつくと,知識がなくてもそこを切り口として答えられる可能性が高くなります。
それでは解説です。
1 郵送調査は,回答者が十分に時間をかけて回答することができるため,質問項目数の上限がないというメリットがある。
郵送調査は,ある一定規模以上の調査では,よく使われる方法です。
郵送費だけで済むからです。
しかし,どの方法であっても,質問項目には限りがあります。たくさんあると答えてくれないからです。
2 集合調査は,特定の団体が集まる会合の場で実施できるため,代表性のある標本を確保しやすいというメリットがある。
集合調査は,そこに集まっている人を無作為抽出しても,標本に偏りが生じます。
そりゃあそうです。
そこに集まっている人は,無作為抽出ではないからです。
3 電話調査は,近年,固定電話に加え,携帯電話を持つ人が増えてきたため,回収率が高いというメリットがある。
電話調査は,国政選挙が近くなると世論調査のためにマスコミがよく行う方法です。
固定電話は,不在だとつながりませんが,携帯電話でも見知らぬ電話番号からかかってきた電話には出ない人も多いと思われます。
4 留置調査は,調査票を配布したその場で回答がなされないため,他の方法に比べて回収率が低いというデメリットがある。
回収率が低いのは,郵送調査です。
留置調査法は,調査員が調査票を配布して,回収するので,無視しにくいこともあり,回収率はある程度高くなります。しかし,費用も高くなります。
5 インターネット調査は,インターネット上で調査対象者を公募する場合,代表性の偏りが生じるというデメリットがある。
これが正解です。
インターネット調査は,最も手軽でスピーディに行える調査法です。
しかし,アクセスできる人は限られますし,アクセスできても,そのテーマに興味を持つ人が回答するため,母集団に対して代表性の高いサンプルとはならないデメリットがあります。