2020年8月14日金曜日

民法が規定している契約の種類

民法では,契約の種類として,以下の13種類が規定されています。

この13種類の契約を典型契約といいます。

 

契約の種類

売買契約

物の売買の契約

贈与契約

物の譲り渡しの契約

交換契約

物の交換の契約

消費貸借契約

借りた物と同等のものを返す契約

※借金など

賃貸借契約

有料による物の借り貸しの契約

使用貸借製薬

無料による物の借り貸しの契約

雇用契約

労働者を雇用する契約

請負契約

完成物に対して対価を払う契約

※建築など。物の完成には義務を伴う

委任契約

事務処理などを他者に委ねる契約

※弁護士契約など。委任した結果に,直接的な義務を負わない。

※法律行為を委任する場合が委任契約,

寄託契約

物の保管に関する契約

組合契約

組合を作る契約

終身定期金契約

死亡するまで金銭等を給与する契約

和解契約

紛争の和解に関する契約

 

 

たくさんあって覚えるのが大変なので,覚えきれないようなら,組合契約以下は覚える必要はありません。これまでに出題されたことがありません。

 

29回・問題79 次のうち,日常生活自立支援事業における日常的金銭管理の根拠を民法上の典型契約に求める場合,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 寄託契約

2 委任契約

3 請負契約

4 雇用契約

5 消費貸借契約

 

日常生活自立支援事業は

①日常的金銭管理サービス

②福祉サービスの利用援助

③文書等預かりサービス

 

の3種類があります。

 

そのうち,家賃などの支払いを行う日常的金銭管理は,法律行為を委ねるので,正解は「2 委任契約」です。

 

それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。

 

1 寄託契約

 

寄託契約は,要注意です。物の保管に関する契約ですが,「寄託」という言葉にそれを連想させるものがないためです。

 

寄託契約は,日常生活自立支援事業のうち,書類等預かりサービスの根拠です。

 

3 請負契約

 

請負契約は,完成物に対して対価を払う契約です。

 

日常生活自立支援事業のうち,福祉サービスの利用援助は,援助することが目的であり,結果は重視されません。

 

福祉サービスの利用援助も日常的金銭管理サービスと同じく,委任契約です。

 

4 雇用契約

 

雇用契約は,労働者を雇用する契約です。

 

日常的金銭管理サービスは,生活支援員が実施します。

もし,生活支援員を直接雇用して日常的金銭管理をしてもらえば雇用契約となるかもしれません。しかし,生活支援員を雇用するのは,日常生活自立支援事業の実施主体,あるいは委託先です。

 

5 消費貸借契約

 

消費貸借契約は,借金など,借りた物と同等のものを返す契約です。

 

借金するとそのお金を返済することになります。「同等のもの」という意味は,10,000円借りたら10,000円を返済しますが,借りた10,000円はおそらく使ってしまっていると思います。使う予定がなければ借金することはないでしょう。

 

借りた1万円札は返すことができないので,別の1万円札を返すことになります。これが同等のものの意味です。

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