2020年8月5日水曜日

国民医療費の概況の出題ポイントは明確です


今回から,科目は「保健医療サービス」に移ります。

今回は,国民医療費に取り組んでいきたいと思います。

出題ポイントは,かなり決まっていますので,参考書に書かれているものを確実に覚えることが大切です。

まずは,国民医療費の統計範囲を押さえましょう


国民医療費とは

 当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。

 この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。

 保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(特別の病室への入院、歯科の金属材料等)、不妊治療における生殖補助医療等に要した費用は含まない。

 傷病の治療費に限っているため、正常な妊娠・分娩に要する費用、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。


それでは今日の問題です。


29回・問題70 「平成25年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,我が国の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 年齢階級別の割合をみると,65歳以上の医療費よりも65歳未満の医療費の方が高い。

2 制度区分別に金額をみると,国民健康保険の総額よりも被用者保険の総額の方が多い。

3 医科診療医療費の傷病分類別の割合をみると,呼吸器系の疾患が最も高い。

4 医科診療医療費の診療種類別の割合をみると,入院医療費よりも入院外医療費の方が高い。

5 国民医療費の総額をみると,初めて40兆円を超えた。



現在の国試では,小さな差しかないものは,出題されない傾向にあります。

年度によって順位が変わるものはほとんどほぼ出題されないのですが,この時と今は傾向が変わっているものがあります。

それでは解説です。

1 年齢階級別の割合をみると,65歳以上の医療費よりも65歳未満の医療費の方が高い。

年齢階級別の割合では,65歳未満と65歳以上の医療費を比べると65歳以上の方が固くなっています。

これは今も同じです。

2 制度区分別に金額をみると,国民健康保険の総額よりも被用者保険の総額の方が多い。

この年は,国民健康保険の総額の方が多かったのですが,現在は,被用者保険の方が多くなっています。

今なら正解です。


3 医科診療医療費の傷病分類別の割合をみると,呼吸器系の疾患が最も高い。

傷病分類別の割合で最も高いのは,循環器系の疾患です。

この傾向は今も変わりません。

4 医科診療医療費の診療種類別の割合をみると,入院医療費よりも入院外医療費の方が高い。

医科診療医療費の診療種類別の割合は,入院医療費の方が高くなっています。

この傾向は今も変わりません。


5 国民医療費の総額をみると,初めて40兆円を超えた。

国民医療費の総額は,この年に初めて40兆円を超えて,今も40兆円を超えています。


<今日の一言>

今日の問題は,出題当時かなり正解するのはかなり難しかったのではないかと思います。

というのは,国民医療費が40兆円を超えていることを知っていても,それがいつ40兆円を超えたかまで覚えていないと思うからです。

しかも,国民健康保険の総額と被用者保険の総額が逆転している時をピンポイントで出題しています。

国民医療費に関する問題で,このようなおかしな出題をしたのは,この時だけです。
参考書に書かれているものをしっかり覚えると得点できる問題となるでしょう。

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