どれだけ勉強していても,国家試験には勉強したことがないものが出題されます。
こんな時,一番役立つのは,問題を読む感性です。
社会人にはとても有利です。学生もがんばりましょう。
まずは,今日の問題を見てみましょう。
第28回・問題28 日本における世帯や婚姻の動向に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 「平成26年版男女共同参画白書」(内閣府)によると,2000年(平成12年)以降,「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」が,「雇用者の共働き世帯」の数を上回るようになった。
2 「平成27年版少子化社会対策白書」(内閣府)によると,2000年(平成12年)以降35歳~39歳の未婚率は,女性が男性を上回るようになった。
3 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると,「単独世帯」の割合は,1990年(平成2年)以降変わっていない。
4 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると,「ひとり親と未婚の子のみの世帯」の割合は,2013年(平成25年)には7%を超えている。
5 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると,「三世代世帯」の割合は,2013年(平成25年)には20%台となった。
このような問題を見ると,白書や報告書に目を通しておかなかったことを後悔することでしょう。
そんなことを思っている暇があったら,さっさと気持ちを切り替えて,手がかりがないかを探したほうが適切です。
この時,役立つのが,「感性」です。
ある人はそれを「数学で補助線を引くようなものだ」と表現していました。
数学の図形に関する問題を解くとき,補助線を引くことによって答えが見えてくる問題があります。
補助線をどのように引くのかによって,問題が解けるかどうかが分かれると言ってもよいでしょう。
数学が苦手な人は,その問題の解き方を解説してもらっても,おそらく同じような問題が出題されても正解できないと思います。
まったく同じ問題は出題されないからです。
社会福祉士の国試も理数的センスがある人は,もしかすると有利なのかなぁ,と思ったりもします。
さて,今日の問題を解くための「補助線その1」です。
まずは,ダイエットしてみます。
1 2000年(平成12年)以降,「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」が,「雇用者の共働き世帯」の数を上回るようになった。
2 2000年(平成12年)以降35歳~39歳の未婚率は,女性が男性を上回るようになった。
3 「単独世帯」の割合は,1990年(平成2年)以降変わっていない。
4 「ひとり親と未婚の子のみの世帯」の割合は,7%を超えている。
5 「三世代世帯」の割合は,2013年(平成25年)には20%台となった。
これでもダイエットしきれていないかもしれませんが,かなりすっきりしたでしょう。
この中の要注意なのは,女性の未婚率です。
結婚しない女性が増えている,というイメージが強いでしょう。
未婚率は,男女ともに上がっていますが,未婚率が高いのは男性です。
この事実を知らない人は,間違えます。
次に厳しいのは,選択肢1です。
共働き世代が専業主婦世代を上回っているのはわかりますが,いつからそうなったのかは知らない人が多いと思います。
正しくは,1997年です。
3 「単独世帯」の割合は,1990年(平成2年)以降変わっていない。
社会は変動するのが世の常です。
5 「三世代世帯」の割合は,2013年(平成25年)には20%台となった。
三世代世帯の割合は,10%もありません。
さて,この問題の正解は,選択肢4です。
4 「ひとり親と未婚の子のみの世帯」の割合は,7%を超えている。
「ひとり親と未婚の子のみの世帯」の割合を知っている人はそれほど多くはなかったことでしょう。
正解するのはとても厳しいと思うかもしれません。
しかし,ちゃんとヒントはあります
7%という数字がリアルです。
間違いなら,10%といったものになりそうですが,7%という数字は妙にリアルっぽいと思いませんか。
ここが感性です。