試験対策の先生の中には「法律の正式名称も覚えておきましょう」と指導される人がいます。
社会福祉士,あるいは精神保健福祉士の国家試験では,法律の正式名称がわからなくて,解けない問題はほとんどありません。
正式名称を覚える時間があったら,その内容を覚えたほうが良いです。
なぜなら,多くの問題は,略称で出題された場合,問題の下に (注)として,正式名称が記載されるからです。
今回紹介する問題は,正式名称で出題されたものです。
法律になじみが出るようになれば,略称で出題されて,正式名称は(注)に記載されます。
つまり,今日の問題は,まだなじみがない時に出題されたものだと言えます。
問題30 高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されている事項として,正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。
4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
↑ ↑
これがオリジナル問題です。
今なら,以下のようになるでしょう。
↓ ↓
問題30 「高齢者住まい法」に規定されている事項として,正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。
4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
(注) 「高齢者住まい法」とは,「高齢者の居住の安定確保に関する法律」のことである。
ものすごく今っぽいでしょう?
「高齢者住まい法」と出題されたらわかっても「高齢者の居住の安定確保に関する法律」と出題されたらわからない。
という人もいるでしょう。しかし,それはそれでいいのです。
ほかの受験者も同じです。
「わからない時は,ほかの受験者も同じ」
このように思うと気持ちにかなり余裕が出るでしょう(というか,本当にそうです)
今日の問題をもう一度紹介します。
第28回・問題30 高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されている事項として,正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。
4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
ずばり言えば,このタイプの問題は,正解できなくても,合否にかかわることはほとんどありません。
なぜなら,正解できる人は,少ないからです。
それでも解説します。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
これは,「バリアフリー新法」です。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
これが正解です。
高齢者住まい法を所管しているのは,国土交通省と厚生労働省です。
「なんで国土交通省なの?」と思う人もいるかもしれません。
実は,国土交通省の取り扱う事務の中には,住宅などの社会資本の整備に関する事務が含まれているのです。びっくりですね。
3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。
これは,「住居セーフティネット法」です。
4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
これは,「被災者生活再建支援法」です。
5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
ようやく,高齢者住まい法に関するものが出てきました。
「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)は,認可するものではありません。
バリアフリー構造の有料老人ホームなどが都道府県に登録することでサ高住となります。
今日の問題で覚えておきたいのは,この選択肢だけです。