今回は,マイクロカウンセリングを取り上げます。
マイクロカウンセリングは,カウンセリングを学びやすいようにカウンセリング技法を細かく分けたものです。
ベースとなる基本的かかわり技法には
感情の反映
はげまし
言い換え
要約
開かれた質問・閉じられた質問
などがあります。
マイクロカウンセリングの技法そのものは,「相談援助の理論と方法」でよく出題されるものです。
それでは,今日の問題です。珍しく「心理学理論と心理的支援」で出題されています。
第28回・問題13 アイビィ(Ivey,A.)のマイクロカウンセリングの基本的かかわり技法に関する次の記述のうち,「開かれた質問の例」として,正しいものを1つ選びなさい。
1 あなたはご長男ですか?
2 あなた方ご家族は,どちらにお住まいですか?
3 あなたは,いつからこちらにお住まいですか?
4 あなたは,結婚についてどのように感じておられますか?
5 あなたは,ご自分の人生がうまくいっていると思いますか?
この時の試験を受けた人は,マイクロカウンセリングと聞いて,ドキッとして人も多かったのではないでしょうか。
しかし,問題の内容は,「開かれた質問はどれか」というものです。
開かれた質問は,はい,いいえなどでは答えられない質問です。
それに対して,閉じられた質問は,はい,いいえなどで答えられる質問です。
その視点で問題を見てみましょう。
1 あなたはご長男ですか?
これは,閉じられた質問です。
2 あなた方ご家族は,どちらにお住まいですか?
これは,はい,いいえで答えるものではないですが,閉じられた質問です。
東京
大阪
などと答えます。
3 あなたは,いつからこちらにお住まいですか?
これも,はい,いいえで答えるものではないですが,閉じられた質問です。
1年前から
3か月前から
などと答えます。
4 あなたは,結婚についてどのように感じておられますか?
これが,開かれた質問です。
ほかの選択肢とは明らかに異なります。
これは,はい,いいえのタイプで答えられるものではありません。
5 あなたは,ご自分の人生がうまくいっていると思いますか?
これは,閉じられた質問です。
<今日の一言>
「開かれた質問」と「閉じられた質問」は,どちらが優れていて,どちらが劣っているというものではありません。
場面に合わせて適切に使い分けることが必要です。
たとえば,クライエントの年齢を聞くときに「あなたはご自身の年齢についてどう思っていますか」という開かれた質問をすると,年齢を聞くことはできません。
そんな時は,「あなたの年齢はおいくつですか」と閉じられた質問のほうが適切でしょう。