百分率と千分率という言葉は聞いたことがありますか?
百分率は,1の100分の1を単位とするものです。パーセント(%)で示します。
千分率は,1の1000分の1を単位とするものです。パーミル(‰)で示します。
以前は,保護率は千分率で表示されることが多かったように思いますが,いつからなのかははっきりわかりませんが,いつの間にか,百分率で表示されるようになっています。
1‰は,0.1%です。
2023年度5月時点の保護率は,1.6%です。これを千分率で表示すると,16‰となります。
小さな数字は,千分率で表示したほうが変化が見えやすいのがメリットです。
1.6%が1.8%になってもあまり変化したようには感じませんが,16‰が18パーミルになると大きく変化したように感じます。
保護率は,公的文書では%で発表されているので,今後の国家試験も%で出題されると思いますが,今はまだ過渡期とも言えるので,保護率が出題された場合は,注意が必要です。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題64 「生活保護の被保護者調査(平成27年度(月次調査確定値))」(厚生労働省)による次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護率(人口百対)は,17.0%である。
2 被保護実人員数(保護停止中を含む)は,約80万人である。
3 保護の開始の主な理由のうち,「傷病」が最も多い。
4 保護の廃止の主な理由のうち,「死亡」が最も多い。
5 保護の種類別に扶助人員をみると,「医療扶助」が最も多い。
古い問題ですが,今でもそのまま使えます。
被保護者調査のデータは,年度によって大きな変化はないからです。
近年の傾向はいつも同じです。
それでは解説です。
1 保護率(人口百対)は,17.0%である。
今日のテーマの保護率が早速登場しました。
(人口百対)と表示されているのが,百分率です。
現在の保護率は,約1.6%です。
引っ掛けで出題されることはないとは思いますが,(人口百対)が(人口千対)と出題されると‰(パーミル)となります。そうなると16‰となります。
試験委員はそこまで汚くはないと思います。
2 被保護実人員数(保護停止中を含む)は,約80万人である。
前回の問題では,約20万人と出題されていましたが,この問題では約80万人と出題されています。
正しくは,約200万人です。この出題でわかりますが,社会福祉士の国試問題は,数字を変える時は大きく変えて出題します。
だから覚える時は大体の数字で十分です。
以前に実際に受けたある団体の模試では,「〇〇〇,〇〇〇人である」と出題していたものがあります。国試ではそんな細かくは出題しません。
3 保護の開始の主な理由のうち,「傷病」が最も多い。
現在の保護の開始理由は「貯金等の減少・喪失」が最も多くなっています。
4 保護の廃止の主な理由のうち,「死亡」が最も多い。
これが正解です。
保護の廃止の理由で最も多いのは「死亡」です。
これはストーリーで覚えられそうです。
最も多い世帯類型は,高齢者世帯であり,高齢者世帯が貯金がなくなり,保護を受けて,亡くなって保護が廃止されるというストーリーです。
若い世代なら,就労によって保護が廃止されることの可能性は大いにありますが,稼働できない高齢者にとって保護が廃止されることがあるとすれば,亡くなるか失そうするか,ということになるのかもしれません。とても悲しい現実です。
5 保護の種類別に扶助人員をみると,「医療扶助」が最も多い。
医療扶助はとても注意が必要です。
扶助人員が最も多いのは,「生活扶助」です。
人数は生活扶助が最も多いですが,一番多くお金がかかっているのは,医療扶助です。
人数 ➡ 生活扶助
費用 ➡ 医療扶助
生活保護費の半分は医療扶助です。受給する人数は少なくても医療が必要になるとお金がかかるということです。
医療扶助は,医療保険のように保険料もなく,自己負担もないので,財源はすべて公費で賄うことになるので,費用は高いと覚えても良いかもしれません。