今回のテーマは,「精神保健福祉法に規定される精神医療審査会とは?」です。
社会福祉士の国家試験では,今のところ(2023年5月)では,まだ一度しか出題されたことはありません。
精神医療審査会は,都道府県に設置義務があります。
精神医療審査会の業務
・病院管理者から,医療保護入院の届出,措置入院者及び医療保護入院者の定期病状報告書等があった場合,その入院の妥当性を審査する。 ・措置入院者及び医療保護入院者から退院請求があった場合,その入院の妥当性を審査する。 |
精神医療審査会は,1987年(昭和62年)に精神衛生法が精神保健法に改正された際に創設されました。
この改正は,精神病患者の権利を守るための改正でした。この時に,精神保健指定医,任意入院などが新たに創設されています。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題61 「精神保健福祉法」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 医療保護入院者を入院させている精神科病院の管理者は,退院後生活環境相談員を選任しなければならない。
2 精神障害者の定義に,知的障害を有する者は含まれない。
3 精神医療審査会は,都道府県の社会福祉協議会に設置するものとされている。
4 精神保健指定医の指定は,1年の精神科診療経験が要件とされている。
5 精神障害者保健福祉手帳の障害等級は,6級までとされている。
難しそうに見えますが,消去できる選択肢が含まれる問題なので,今は見た目ほど難しくないかもしれません。
それでは,解説です。
1 医療保護入院者を入院させている精神科病院の管理者は,退院後生活環境相談員を選任しなければならない。
これが正解です。
医療保護入院者を入院させている精神科病院の管理者は,精神保健福祉士その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから,退院後生活環境相談員を選任し,医療保護入院者及びその家族等からの相談に応じさせ,及びこれらの者を指導させなければならない。
と規定しています。
退院後生活環境相談員と似たようにものに,退院支援相談員があります。
退院後生活環境相談員は,医療保護入院者に対して選任されます。
退院支援相談員は,精神療養病床入院者に対して選任されます。
社会福祉士の国家試験では,退院支援相談員は出題されませんが,精神保健福祉士を受験する人は覚えておきたいです。
2 精神障害者の定義に,知的障害を有する者は含まれない。
精神保健福祉法が定義する精神障害者
統合失調症,精神作用物質による急性中毒又はその依存症,知的障害その他の精神疾患を有する者。
このように知的障害者は,精神障害者に含まれます。
身体障害者と異なり,精神障害者は,精神障害者保健福祉手帳の交付を受けなくても,精神障害者となります。
3 精神医療審査会は,都道府県の社会福祉協議会に設置するものとされている。
精神医療審査会を設置するのは,都道府県です。
福祉領域のものと医療領域のものが一緒になるはずがありません。その必然性は一切ありません。
なお,精神医療審査会の事務は,精神保健福祉センターが行います。
社会福祉士ではここまでの知識は必要ではありませんが,精神保健福祉士を受験する人は覚えておきたいです。
4 精神保健指定医の指定は,1年の精神科診療経験が要件とされている。
精神保健指定医に指定されるには,3年の精神科診療経験が要件となっています。
1年間の実務経験では短すぎだと思いませんか?
5 精神障害者保健福祉手帳の障害等級は,6級までとされている。
精神障害者保健福祉手帳の障害等級は,3級までです。
更新は,2年ごとに行います。