障害者手帳には,身体障害者手帳,療育手帳,精神障害者保健福祉手帳があることを学んできました。
今回は,その最終回です。
身体障害者手帳は,障害の程度が変わらない場合には更新の手続きの必要がありません。
障害の程度が変わった場合にのみ,更新手続きを行います。これだと事務手続きが楽です。
精神障害者保健福祉手帳は,2年ごとに更新します。障害の程度が変化しやすいという障害の特徴が表れていると言えるでしょう。
それでは,療育手帳は,どうなのでしょうか?
療育手帳は,法的根拠がありません。そのため,自治体によって異なります。
それでは,今日の問題です。
第24回・問題133 障害者手帳に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 乳幼児に関する身体障害の認定は,障害の種類に応じて,生後すぐ行うこととされている。
2 精神障害者保健福祉手帳による税制上の優遇措置においては,相続税の障害者控除の対象は障害等級1級の特別障害者を対象としており,2級・3級の者は含まれない。
3 療育手帳を所持している第二種知的障害者が航空旅客運賃の割引制度を利用するとき,知的障害者割引運賃は普通大人片道運賃50%割引相当額である。
4 障害の状態が永続的であると認められる身体障害者は,原則として身体障害者障害程度の再認定を受ける必要はない。
5 精神障害者保健福祉手帳の申請に必要な医師の診断書の作成は,精神保健指定医でなければならない。
変な問題です。運賃割引が出題されたのは,この時が最後です。
これより前には,障害者に対する割引・減免について出題されたことがありますが,今,出題されないのは,あまりに細かすぎるか,あるいは法規定されていないものを問うのは適切ではないと考えられるようになったのではないかと思います。
そういったことから,今後,出題されることはないと思います。また,出題されても正解にすることはないでしょう。
それでは,解説です。
1 乳幼児に関する身体障害の認定は,障害の種類に応じて,生後すぐ行うこととされている。
欠損はすぐわかるかもしれませんが,生後すぐにはわからないものもあります。
ということで,このような規定はありません。
2 精神障害者保健福祉手帳による税制上の優遇措置においては,相続税の障害者控除の対象は障害等級1級の特別障害者を対象としており,2級・3級の者は含まれない。
精神障害者保健福祉手帳は,1~3級あります。
相続税の障害者控除は,1~3級それぞれが対象です。
3 療育手帳を所持している第二種知的障害者が航空旅客運賃の割引制度を利用するとき,知的障害者割引運賃は普通大人片道運賃50%割引相当額である。
障害者手帳には,障害等級のほかに運賃割引を示す第一種と第二種が記載されます。
第一種は,障害者本人とともに介護者も運賃割引が適用されます。
第二種は,障害者本人の運賃割引が適用されます。
JRの場合は,50%割引が受けられます。
私鉄や航空会社,タクシー会社も割引きされることはありますが,各社の規定によって割引内容は異なります。
4 障害の状態が永続的であると認められる身体障害者は,原則として身体障害者障害程度の再認定を受ける必要はない。
これが正解です。
身体障害者手帳は,原則として更新はありません。
障害状態が変化することがある場合に再認定します。
5 精神障害者保健福祉手帳の申請に必要な医師の診断書の作成は,精神保健指定医でなければならない。
精神障害者保健福祉手帳の申請には,医師の診断書が必要です。
その場合の医師は精神科医師であれば大丈夫です。
精神保健指定医の数は限られていますし,障害者本人は,精神保健指定医はどこにいけば会えるのかの情報もありません。それを考慮すると,制度を知らずとも消去することができるでしょう。