障害者基本法は内閣府が所管しています。
「●●基本法」は,内閣府が所管するものがほとんどです。
ほかの省庁が所管する「●●基本法」もありますが,社会福祉士の国家試験対策としては,「●●基本法」は,内閣府が所管していると押さえておくととりあえずは良いです。
社会福祉士の国家試験に出題される法制度の多くは,厚生労働省が所管しているものですが,障害者基本法と子ども・子育て基本法は内閣府が所管しているので注意が必要です。
こども家庭庁ができたことによって,子ども・子育て支援法の所管は,こども家庭庁に移行するのかと思っていましたが,引き続き内閣府が所管しています。
なお,こども家庭庁は,こども基本法を所管しています。こども政策の司令塔の役割を果たすからです。
今日のテーマは,「障害者政策委員会」です。
障害者政策委員会は,障害者基本法に規定されています。
それでは,障害者政策委員会は,どこに設置されるのでしょうか。
ここで「何だっけ?」と思った人は要注意です。
障害者政策委員会は,内閣府が所管する障害者基本法が規定しているわけですから,障害者政策委員会が設置されるのも内閣府です。
所管というのは,こういったことをいいます。
障害者基本法では,障害者基本計画を規定していますが,この計画を策定するのは,厚生労働大臣ではなく,政府です。
障害者政策委員会の役割
・障害者基本計画の作成にあたって,内閣総理大臣に意見を述べる。
・障害者基本計画の実施状況を監視し,必要な場合は勧告する。
などがあります。
障害者政策委員会のメンバーは次のうちから内閣総理大臣が任命します。
・障害者
・障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者
メンバーに障害者が含まれているのは,障害者権利条約が作られたときの精神でもある「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」が影響していることがわかるでしょう。
今日の問題に入る前に,前回の復習からです。
https://fukufuku21.blogspot.com/2023/05/blog-post_12.html
それでは,今日の問題です。
第32回・問題61 障害者基本法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では,障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は,都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は,重度の障害者について,終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において,社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として,障害者が明記されている。
答えは今ならすぐわかることでしょう。
国家試験は,知識があれば決して難しいことを出題しているわけではありません。
それでは解説です。
1 法の目的では,障害者本人の自立への努力について規定されている。
障害者本人の「自立への努力」は,2004年(平成16)年の改正によって削除されています。
2 都道府県は,都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
障害者計画の策定は,義務です。
3 国及び地方公共団体は,重度の障害者について,終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
この規定も2004年(平成16)年の改正で削除されています。
4 社会的障壁の定義において,社会における慣行や観念は除外されている。
社会的障壁(バリア)には,物のバリアだけではなく,社会における慣行や観念といった心のバリアも含まれます。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として,障害者が明記されている。
これが正解です。