精神保健福祉法による入院形態には,任意入院,医療保護入院,措置入院(及び緊急措置入院),任意入院があります。
そのうちの医療保護入院は,本人の同意が得られない場合,家族等の同意によって入院するものです。
今日の問題に入る前に前回の復習です。
https://fukufuku21.blogspot.com/2023/05/blog-post_15.html
それでは,今日の問題です。
第27回・問題60 事例を読んで,Gさんの入院に対する対応として,適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(28歳)は精神障害があり家族はいない。過去に放火をしたため「医療観察法」による通院処遇を3年間受けて,2年前に裁判所から処遇終了の決定を受けている。現在は地域活動支援センターを利用している。最近,Gさんの状態が悪化したため,通院している精神科病院で精神保健指定医の診察を受けたところ,「自傷他害のおそれはないが入院が必要」と診断された。Gさんは入院に同意できる状態ではないが,後見人は入院に同意している。
1 「医療観察法」による鑑定入院の命令
2 「医療観察法」による入院処遇の決定
3 「精神保健福祉法」による措置入院
4 「精神保健福祉法」による医療保護入院
5 「精神保健福祉法」による応急入院
医療観察法を含めて出題されています。
しかし,医療観察法の処遇は終了しているので,鑑定入院などがわからなくとも消去できます。
それでは解説です。
1 「医療観察法」による鑑定入院の命令
医療観察法の鑑定入院は,医療観察法の処遇の対象となるかを鑑定するための入院です。
Gさんは,医療観察法の処遇を既に終えています。
2 「医療観察法」による入院処遇の決定
鑑定入院の結果,医療が必要な場合,地方裁判所が入院処遇か通院処遇かを決定します。
通院の場合は,最長3年,さらに必要な場合は2年を超えない範囲で延長することができます。
通院処遇の場合は,社会復帰調整官により精神保健観察を受けます。
3 「精神保健福祉法」による措置入院
措置入院は,自傷他害のおそれがある場合,都道府県知事の措置によって入院するものです。
Gさんは,他害自傷のおそれはないと診断されています。
4 「精神保健福祉法」による医療保護入院
これが正解です。
医療保護入院は,本人の同意が得られない場合に,家族等の同意による入院形態です。
5 「精神保健福祉法」による応急入院
応急入院は,本人の同意も家族等の同意も得られない場合の入院形態です。
Gさんの場合は,家族等に含まれる後見人の同意があるので任意入院ではなく,医療保護入院の対象となります。