2023年5月12日金曜日

障害者基本法の変遷

障害者基本法は,1970年(昭和45年)の心身障害者対策基本法を改正して,1993年(平成5年)にこの法律名になりました。

 

この改正で,精神障害者も含められています。

 

障害者基本法では,障害者計画が規定されていますが,当初は,都道府県,市町村ともに策定は努力義務でした。

 

その後,いずれも策定は義務となっています。

 

平成5年当時と変わった主な規定

 

2004年改正

・差別の禁止が規定された。

・「自立への努力」(障害者は,その有する能力を活用することにより,進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない)が削除された。

・障害者の日が障害者週間になった。

 

2011年改正

・定義に社会的障壁が加えられた。

・合理的配慮が加えられた。

 

特に2011年改正は,障害者権利条約を批准するための改正として重要です。

 

それでは今日の問題です。

 

28回・問題62 現行の障害者基本法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会的障壁の除去について規定されている。

2 中央心身障害者対策協議会を置くことが規定されている。

3 市町村の行う地域生活支援事業について規定されている。

4 心身障害者本人に対する自立への努力について規定されている。

5 市町村障害者計画の策定は,市町村の判断に委ねると規定されている。

 

なかなかのマニアックぶりを発揮している問題ですが,問題自体の質はとても高いです。

 

現行法を問いながら歴史の知識も学べます。これによく似た問題は,老人福祉法でもみられます。

 

それでは解説です。

 

1 社会的障壁の除去について規定されている。

 

これが正解です。

 

現在の障害者基本法の重要ポイントを正解にしています。

 

2 中央心身障害者対策協議会を置くことが規定されている。

 

中央心身障害者対策協議会は,心身障害者対策基本法時代に規定されていたものです。

 

現在は「障害者政策委員会」という組織が規定され,障害者基本計画の実施状況の監視などを行っています。

 

 

3 市町村の行う地域生活支援事業について規定されている。

 

地域生活支援事業が規定されているのは,障害者総合支援法です。

 

4 心身障害者本人に対する自立への努力について規定されている。

 

自立への努力は,2004年改正でと駆除されています。

 

5 市町村障害者計画の策定は,市町村の判断に委ねると規定されている。

 

障害者計画の策定は,当初は努力義務でしたが,現在は市町村,都道府県ともに義務に変わっています。

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