2020年11月20日金曜日

ニーズ原則と貢献原則

福祉政策で重要なのは,ニーズ判定をして,それをどのように配分するかということです。

 

限りある財源です。適切に配分しなければなりません。

 

資源の配分に関して,まとめてみます。

 

普遍主義

選別主義

資力調査を行わずに資源を配分する方法。


資力調査を行って資源を配分する方法。

 

必要(ニーズ)原則

貢献原則

必要としている人に資源を配分する方法。

多く貢献した人により多くの資源を配分すること。

 

どれが優れていて,どれが劣っているといったものではありません。

それぞれの制度で,より適切な方法が選択され,制度が組み立てられます。

 

普遍主義と選別主義では,普遍主義のほうが良いように思う人もいるかもしれません。

しかし,そういった単純な話ではありません。

 

再度言いますが,資源には限りがあります。

 

より必要な人に手厚く配分するためには,選別主義のほうが適切です。

100万円という資源を100人に配分すると,一人には1万円が配分されます。

 

選別主義をとって,半分の50人に配分すると,2万円が配分されます。

みんなの満足のバランスのことをパレート効率といいます。

 

最初に配分されていた人が配分されなくなると不満足になり,配分される量が増える,または今まで配分されていなかった人に配分されるようになれば満足が高まります。このバランスをとるのが「パレート効率」あるいは「パレート最適」といいます。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題25 福祉サービス利用者のニーズに関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 政府による資源配分では,ニーズ原則が貫かれている。

2 ニーズの質や水準にかかわりなく,サービスに定額の負担を課すことを,普遍主義という。

3 ニーズ充足の評価には,主観的評価も含まれる。

4 サービス情報が公開されていれば,ニーズが潜在化することはない。

5 その人の主観的な欲求が表現されたもの以外は,ニーズとはみなせない。

 

「現代社会と福祉」が苦手な人は,うんざりするような問題かもしれません。

しかし,選択肢4と5は消去できると思うので,3分の1の確率で正解することができる問題でしょう。


1 政府による資源配分では,ニーズ原則が貫かれている。

2 ニーズの質や水準にかかわりなく,サービスに定額の負担を課すことを,普遍主義という。

3 ニーズ充足の評価には,主観的評価も含まれる。

 

実は,この問題は解答テクニックで正解できる確率を上げることができます。

 

というのは,「含まれる」というのは,正解になりやすいものなのです。

高度な作問技術を持つ試験委員は,文章をそろえて出題します。

例えば「含まれる」で統一して出題するといったものです。

そうすると,とたんに難易度が上がります。

しかし,今日の問題のように,問題の文章がバラバラだとそこがヒントになることもあるのです。

せっかくなので,覚えておきましょう。

 

1 政府による資源配分では,ニーズ原則が貫かれている。

 

資源配分では,ニーズ原則(必要原則)もありますが,貢献原則もあります。

 

2 ニーズの質や水準にかかわりなく,サービスに定額の負担を課すことを,普遍主義という。

 

普遍主義は,資力調査を行わないで,資源の配分を行うものです。

 

サービスに定額の負担を課すことは「応益負担」といいます。


3 ニーズ充足の評価には,主観的評価も含まれる。


これが正解です。

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