今回は,「住民主体の原則」を学びましょう。
住民主体の原則とは,住民が主体となって問題の解決を図ることをいいます。
ロスマンの「コミュニティ・オーガニゼーション」では
・小地域開発モデル
・社会計画モデル
・ソーシャルアクションモデル
の3つのモデルを提示していますが,住民主体の原則は,このうちの「小地域開発モデル」にあたります。
この原則は,全国社会福祉協議会の『社会福祉協議会基本要項』(1962・昭和37年)で,述べられたのが最初です。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題33 地域福祉に関する理念や概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 ローカルガバナンスとは,地方自治体における議会による統治を意味する概念である。
2 ソーシャルインクルージョンとは,全ての人々を排除せず,包摂し共に生きることができる社会を目指す考え方である。
3 地域福祉における住民主体の原則とは,サービス利用者としての地域住民の主体性を重視した考え方である。
4 脱施設化とは,児童と高齢者が福祉施設から地域生活に移行していくための取組を指す。
5 社会的起業とは,企業による収益拡大を目的とした新規事業開発のことを指す概念である。
難しい問題だと思う人は,もうひと頑張りが必要です。
さて,正解は,
2 ソーシャルインクルージョンとは,全ての人々を排除せず,包摂し共に生きることができる社会を目指す考え方である。
極めて基本的なものが正解となりました。
ほかの選択肢も確認していきます。
1 ローカルガバナンスとは,地方自治体における議会による統治を意味する概念である。
ローカルガバナンスの「ガバナンス」は,「統治」と訳されます。
行政のみが地方自治を担うのではなく,住民などが参加することがローカルガバナンスです。
3 地域福祉における住民主体の原則とは,サービス利用者としての地域住民の主体性を重視した考え方である。
住民主体の原則は,住民が主体となって問題の解決を図ることを原則とするものです。
4 脱施設化とは,児童と高齢者が福祉施設から地域生活に移行していくための取組を指す。
脱施設化は,福祉施設から地域生活に移行していくための取組であるのは正しいですが,児童と高齢者に限定されるものではなく,障害児・者なども対象です。
5 社会的起業とは,企業による収益拡大を目的とした新規事業開発のことを指す概念である。
社会的起業とは,社会的企業を起業することです。
社会的企業とは,社会的課題の解決を目指して経済的活動を行う企業を指します。