2020年11月13日金曜日

消費社会の特徴

国家試験では,どれだけ勉強しても,勉強したことがないものが一定数出題されています。


そういった中には,考えてもわからない問題も含まれます。


逆に,勉強したことがなくても正解できることもあります。

落ち着いて読むことが必要です。


今日は,消費社会を取り上げます。


消費社会とは,生産よりも消費が優先されることが特徴です。


消費者が購入するものを生産します。


現代は,消費社会なので,当然と言えば当然なのですが,改めて「消費社会」と言われるとドキッとしてしまいます。


それでは今日の問題です。


第28回・問題16 消費社会に関する代表的な社会理論についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 ロストウ(Rostow,W.W.)によれば,社会の関心は,供給から需要,生産から消費へと移っていく。

2 ガルブレイス(Galbraith,J.K.)によれば,生産よりも消費が経済成長の原動力となるので,生産部門が消費部門に依存する依存効果がみられるようになる。

3 リースマン(Riesman,D.)によれば,内部指向型の社会的性格に基づいて,スタンダードパッケージとしての個性的な商品が多品種少量生産されるようになる。

4 ヴェブレン(Veblen,T.)によれば,多くの人々が同じ商品を購入するようになるので,見せびらかしの消費としての誇示的消費の意義は失われる。

5 ボードリヤール(Baudrillard,J.)によれば,モノの記号的意味の消費から,生理的・機能的欲求に基づくモノの実質的機能の消費へと移っていく。


この問題を解くときの手がかりは,現代社会はどんな特徴があるのかを考えることでしょう。


人名を変えて出題されることは考えられないので,その部分は捨てて読むようにしましょう。


何か見えてくることがあります。


それでは解説です。


1 ロストウ(Rostow,W.W.)によれば,社会の関心は,供給から需要,生産から消費へと移っていく。


前説のようにこれが正解です。しかし,難しすぎです。


2 ガルブレイス(Galbraith,J.K.)によれば,生産よりも消費が経済成長の原動力となるので,生産部門が消費部門に依存する依存効果がみられるようになる。


この問題の難易度がとてつもなく難しいのは,この選択肢のせいです。


文章がほとんど合っているのですが,「依存効果」の説明の部分が間違っています。やられたという感じです。


依存効果とは,製品の品質そのものよりもコマーシャルなどのイメージなどによって,製品が売れることを言います。


選択肢1も2も「生産から消費へ」という順番になっているので,解答テクニックで言えば,一般的には,両方とも消去されるものとなります。


しかし,この選択肢は,ほかの部分を変えて出題しているのです。


3 リースマン(Riesman,D.)によれば,内部指向型の社会的性格に基づいて,スタンダードパッケージとしての個性的な商品が多品種少量生産されるようになる。


リースマンは,内部指向型から外部志向型の人が増加すると考えました。


外部志向型とは,たとえばSNSで「いいね」をたくさんもらうことを重視するような人です。


内部指向型は,自分は自分である,というタイプです。


内部指向型だと,個性的な商品が多品種少量生産されるようになるのは正しいのですが,スタンダードパッケージの部分が間違っています。


スタンダードパッケージとは,同じような製品を提供することを言います。

ほかの人と同じものが良いというのが好まれます。


4 ヴェブレン(Veblen,T.)によれば,多くの人々が同じ商品を購入するようになるので,見せびらかしの消費としての誇示的消費の意義は失われる。


見せびらかしは,重要です。そうでなれば,高価なブランド物は売れることはないでしょう。


5 ボードリヤール(Baudrillard,J.)によれば,モノの記号的意味の消費から,生理的・機能的欲求に基づくモノの実質的機能の消費へと移っていく。


モノの記号的意味の消費とは,製品ものものの性能よりもブランドが好まれることをいいます。


順番で言えば「モノの実質的機能の消費」から「モノの記号的意味の消費へ」です。

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