今回は,準市場(疑似市場・擬似市場)を取り上げます。
準市場という名称から,ある程度イメージができるのではないかと思います。
こういうものは,勉強不足の人でも正解できる可能性があるので,不正解になるのは,極力避けたいです。
準市場とは,市場メカニズムを一部採用して,公的サービスを供給するものです。
わかりやすいのは,介護保険サービスです。
準市場と言ったら,介護保険サービスをイメージすると良いです。
多様な主体が参入できますが,自由市場のように,価格は自由に決められるものではなく,介護報酬という公定価格が適用されます。
それでは今日の問題です。
第28回・問題29 福祉サービスにおける準市場(疑似市場)に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者のサービス選択を支援する仕組みが必要である。
2 サービスの質のモニタリングは不要である。
3 同一地域におけるサービスの供給者は1つに限定される。
4 営利事業者やNPOが参入できないよう,規制される。
5 自治体が,福祉サービスの購入者となることが前提である。
準市場を理解していなくても正解できそうな問題です。
消去できそうなものは,
2 サービスの質のモニタリングは不要である。
3 同一地域におけるサービスの供給者は1つに限定される。
4 営利事業者やNPOが参入できないよう,規制される。
の3つです。
どの問題でも,選択肢を3つ消去できることができれば,かなりの確率で合格できることができます。
しかし,この問題は,もう一つの選択肢も消去して確実に正解したいです。
1 利用者のサービス選択を支援する仕組みが必要である。
5 自治体が,福祉サービスの購入者となることが前提である。
福祉サービスの購入者となることを前提にしているのは,おそらく措置制度のことを言っているのではないでしょうか。
「購入者」という用語が使われているのでわかりにくいですが,措置制度では,措置権者が支給を決定して,サービス提供はサービス事業者に委託してサービスが提供されます。
サービス提供者の視点で考えると,サービスを購入してくれているのは利用者ではなく,措置権者である自治体だと言えるでしょう。
介護保険制度では,契約制度が取り入れられています。
ということで,この問題の正解は,
1 利用者のサービス選択を支援する仕組みが必要である。
ということになります。
準市場を知らなくても,正解できそうなものが正解になっています。
こういった問題を正解できないのは,かなり痛いです。「落ち着いて」「落ち着いて」問題文を読むことが大切です。