「成年後見関係事件の概況」は,第22,24,27,28,30,31回国試で出題されています。
確率的には,2年に一度は出題されています。覚える優先度はかなり高いと言えるものの一つです。
もともとの報告書は,それほどボリュームがないので,目を通してもあまり時間がかからないものでしょう。
成年後見関係事件の概況
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/20200312koukengaikyou-h31.pdf
それでは今日の問題です。
第28回・問題80 2010年(平成22年)から2014年(平成26年)までの5年間の「成年後見関係事件の概況」(最高裁判所事務総局家庭局)に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 成年後見関係事件の申立総件数は,毎年増加している。
2 成年後見制度の利用者総数は,毎年減少している。
3 市町村長申立件数は,毎年増加している。
4 成年後見関係事件の認容率は,70%を下回っている年がある。
5 主な申立ての動機としては,預貯金等の管理・解約(財産管理処分)が最も多い。
(注) 「成年後見関係事件」とは,後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件のことである。
この中で特に覚えておきたいのは,正解の
3 市町村長申立件数は,毎年増加している。
5 主な申立ての動機としては,預貯金等の管理・解約(財産管理処分)が最も多い。
の2つです。
この問題では出題されていませんが,ほかに覚えておきたいのは,成年後見人等と本人のとの関係です。
親族:約2割
親族以外:約8割
親族の中で最も多いのは,子
親族以外で最も多いのは,司法書士
<今日の一言>
今日の問題のような,統計の知識が問われる出題は多いです。
そのような問題で,迷わないコツは,覚えるときに第2位以下は覚えないことです。
第1位はしっかり覚えているわけですから,第2位のものを取り上げて「最も多い」と出題されれば誤りであるとわかります。
たとえば,
主な申立ての動機としては,介護保険契約が最も多い。
主な申立ての動機としては,身上保護が最も多い。
と出題されたとしても,最も多いのは「預貯金等の管理・解約」であると覚えていれば,いずれも消去できます。
かつて,第3位を変えて出題されたことがあります。
国民医療費の傷病別一般診療医療費の構成割合上位3つは,順に循環器系の疾患,新生物,精神及び行動の障害である。(第22回・問題64)
第1位と第2位は正しいですが,第3位が間違っています。
これ以降は,一度もそのような出題はありません。おそらく試験センター内で問題になったのではないかと思います。試験センターには,私たちが知りえない作問上のルールが存在していると考えています。
第3位を変えて出題することがあれば対応できませんが,出題されるかどうかわからないものにおびえて,肝心なことが覚えきれないのでは意味はありません。
疑心暗鬼は,身を滅ぼします。