2021年1月10日日曜日

成年後見関係事件の概況

「成年後見関係事件の概況」は,第22,24,27,28,30,31回国試で出題されています。


確率的には,2年に一度は出題されています。覚える優先度はかなり高いと言えるものの一つです。


もともとの報告書は,それほどボリュームがないので,目を通してもあまり時間がかからないものでしょう。

成年後見関係事件の概況

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/20200312koukengaikyou-h31.pdf


それでは今日の問題です。


第28回・問題80 2010年(平成22年)から2014年(平成26年)までの5年間の「成年後見関係事件の概況」(最高裁判所事務総局家庭局)に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 成年後見関係事件の申立総件数は,毎年増加している。

2 成年後見制度の利用者総数は,毎年減少している。

3 市町村長申立件数は,毎年増加している。

4 成年後見関係事件の認容率は,70%を下回っている年がある。

5 主な申立ての動機としては,預貯金等の管理・解約(財産管理処分)が最も多い。

(注) 「成年後見関係事件」とは,後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件のことである。


この中で特に覚えておきたいのは,正解の

3 市町村長申立件数は,毎年増加している。

5 主な申立ての動機としては,預貯金等の管理・解約(財産管理処分)が最も多い。


の2つです。


この問題では出題されていませんが,ほかに覚えておきたいのは,成年後見人等と本人のとの関係です。


親族:約2割

親族以外:約8割


親族の中で最も多いのは,子

親族以外で最も多いのは,司法書士


<今日の一言>


今日の問題のような,統計の知識が問われる出題は多いです。


そのような問題で,迷わないコツは,覚えるときに第2位以下は覚えないことです。


第1位はしっかり覚えているわけですから,第2位のものを取り上げて「最も多い」と出題されれば誤りであるとわかります。


たとえば,


主な申立ての動機としては,介護保険契約が最も多い。

主な申立ての動機としては,身上保護が最も多い。


と出題されたとしても,最も多いのは「預貯金等の管理・解約」であると覚えていれば,いずれも消去できます。

かつて,第3位を変えて出題されたことがあります。


国民医療費の傷病別一般診療医療費の構成割合上位3つは,順に循環器系の疾患,新生物,精神及び行動の障害である。(第22回・問題64)


第1位と第2位は正しいですが,第3位が間違っています。


これ以降は,一度もそのような出題はありません。おそらく試験センター内で問題になったのではないかと思います。試験センターには,私たちが知りえない作問上のルールが存在していると考えています。


第3位を変えて出題することがあれば対応できませんが,出題されるかどうかわからないものにおびえて,肝心なことが覚えきれないのでは意味はありません。


疑心暗鬼は,身を滅ぼします。

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