今回は,行政訴訟を学んでみましょう。
行政訴訟とは,行政処分に対する不服を訴訟という手段で訴えるものです。
訴訟類型には,以下のようなものがあります。
主観訴訟 (個人の権益に関する訴訟) |
抗告訴訟 |
取消訴訟(行政処分の取消しを求める訴訟) |
無効等確認訴訟(当該処分又は裁決の存否,または行政処分の効力の確認を求める訴訟) |
||
不作為の違法確認訴訟(既定の期間内に行政処分及び採決を行わなかったことの違法性を確認する訴訟) |
||
義務付け訴訟(行政処分を行うように求める訴訟) |
||
差し止め訴訟(行政処分の差し止めを求める訴訟) |
||
当事者訴訟(法律関係の当事者の一方を被告とするもの) |
||
客観訴訟 (個人の権益に関係しない行政庁の違法性に関する訴訟) |
民衆訴訟(自己の利益にかかわらない資格で提起する訴訟) |
|
機関訴訟(国,または地方公共団体同士による訴訟) |
第28回・問題77 Kさんは生活に困窮したため,2015年(平成27年)10月1日に福祉事務所で生活保護申請を行ったところ,同月14日に保護の要件を満たさないとして不支給決定がなされた。Kさんはこれを不服として審査請求を行ったが,同年12月1日にこれも棄却されたため,速やかに訴訟を提起することにした。
次のうち,訴訟に当たって選択すべき行政法上の訴訟類型として,適切なものを1つ選びなさい。
1 当事者訴訟
2 民衆訴訟
3 機関訴訟
4 取消訴訟
5 無効等確認訴訟
訴訟類型はたくさんあるので覚えるのが大変ですが,まずは主観訴訟と客観訴訟を仕分けします。
この訴訟は,Kさん自身の権益に関する訴訟なので,「主観訴訟」です。
客観訴訟である
2 民衆訴訟
3 機関訴訟
は消去できます。
残りは,
1 当事者訴訟
4 取消訴訟
5 無効等確認訴訟
「1 当事者訴訟」は,民事訴訟の公的版だと言えます。
たとえば,土地を収用する際の補償金の増額を求める訴訟があります。
ここでは当てはまりそうにないです。
4 取消訴訟
これが正解です。
この事例では,審査請求の採決の結果,棄却された行政処分の取消しを求めます。
5 無効等確認訴訟
無効等確認訴訟は,当該処分又は裁決の存否,または行政処分の効力の確認を求める訴訟です。この事例では,却下されていることが明らかです。
<今日の一言>
訴訟の種類に関して,ずっと出題されてこなかったのですが,第28回,第30回,第31回と出題されています。
覚えるのは,面倒ですが,少なくとも抗告訴訟の種類だけは押さえておきたいです。