チーム医療とは,専門職がそれぞれの専門性を発揮して,よりよい医療の提供を図るものです。
それでは,今日の問題です。
チームアプローチとして,次の3モデルが紹介されています
マルチディシプナリーモデル |
専門職がそれぞれの援助目標を立てて,それを一人に集約し,援助するもの。 多くの場合,急性期医療現場で実践される。 |
インターディシプナリーモデル |
専門職が話し合いで援助目標を定めて援助するもの。 現在,多くの現場で実践されているもの。 |
トランスディシプナリーモデル |
専門職がそれぞれの役割を交換しながら援助するもの。 専門職同士の垣根を低くする効用がある。 |
それでは,今日の問題です。
第28回・問題76 事例を読んで,回復期リハビリテーション病棟における復職を支援するチームの在り方に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
教職員が120人いる私立中学校の事務職員をしているJさん(50歳,男性)は,脳出血で倒れ,現在は,休職して回復期リハビリテーション病棟に入院している。
後遺症として,右片麻癖,言語障害があり,理学療法,作業療法,言語聴覚療法やソーシャルワーカーの支援を受けている。この度,職場復帰に向けた方針をチーム内で検討することになった。
1 マルチディシプリナリーモデルを用いて活動する。
2 ソーシャルワーカーは医療行為ができないため,リーダーにならない。
3 復職支援の計画は,Jさんをチームに加えず,専門職だけで決定する。
4 職場での配慮や環境調整のために,Jさんの同意を得て,産業医に必要な情報を提供する。
5 Jさんの復職に関する課題を解決するために,タスク機能とメンテナンス機能を発揮する。
カタカナ語がいきなり出てくるので,面食らった人もいるかもしれません。
しかし,落ち着いて問題を読めば,なんとなくでも答えが見えるでしょう。
それでは,解説です。
1 マルチディシプリナリーモデルを用いて活動する。
マルチディシプリナリーモデルは,急性期医療現場には向きますが,職場復帰に向けた支援には向かないと言えます。
むしろ,インターディシプナリーモデルが適切だと言えるでしょう。
2 ソーシャルワーカーは医療行為ができないため,リーダーにならない。
医療ソーシャルワーカーは,医療行為はできません。
医療チームのリーダーになることはありませんが,職場復帰に向けた支援のチームでは,社会資源をよく知っている医療ソーシャルワーカーもリーダーになる可能性はあります。
3 復職支援の計画は,Jさんをチームに加えず,専門職だけで決定する。
支援計画の決定には,必要な場合,本人にも加わってもらいます。
4 職場での配慮や環境調整のために,Jさんの同意を得て,産業医に必要な情報を提供する。
これが正解の一つです。
産業医は,労働安全衛生法によって,従業員が50名以上の事業所で選任されます。
Jさんの職場復帰に際して,産業医の協力を求めるのは適切でしょう。
5 Jさんの復職に関する課題を解決するために,タスク機能とメンテナンス機能を発揮する。
これがもう一つの正解です。
チームの機能には
タスク機能は「目標達成機能」
メンテナンス機能は「チーム維持機能」
があります。
これらを発揮するのは,適切でしょう。