今回は,国民医療費を取り上げたいと思います。
国民医療費とは,医療保険制度,後期高齢者医療制度,公費負担医療制度による給付,それに患者の一部負担等を合算したものです。
国民医療費をまとめた報告書である「国民医療費の概況」に関する問題は,ほとんど毎年出題されています。
しっかり覚えて得点したいです。
それでは,早速国試問題を見てみましょう。
第28回・問題71 「平成24年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,国民医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民医療費には,特定健康診査・特定保健指導の費用が含まれる。
2 国民医療費は,患者が医療機関で直接支払う一部負担金を差し引いて推計したものである。
3 国民医療費には,保険適用外で請求される補装具の費用が含まれる。
4 財源別国民医療費では,公費の割合が保険料の割合よりも大きい。
5 国民医療費に占める65歳以上の医療費の割合は,50%以上である。
現時点(2021年1月)で最も新しいデータは以下のとおりです。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/18/dl/kekka.pdf
この概要くらいは,一度目を通しておきたいです。
さて,この問題の正解は,選択肢5です。
5 国民医療費に占める65歳以上の医療費の割合は,50%以上である。
押さえておきたい数字は以下のとおりです。
65歳以上が約60%
65歳未満が約40%
この選択肢のように,国家試験の問題は細かい数字は出題されません。
自分が覚えたのは,平成29年度,国家試験で平成30年度のものが出題されたら,どうしよう,どちらを覚えてよいのか,わからない,どうしよう。
と思うのはあまりにナンセンスです。覚える数字は,平成29年度でも平成30年度のものでもありません。
覚える数字は,おおよそのもので十分です。
この問題で言えば,65歳以上は60%という数字です。
細かくは絶対に出題されないので,これで十分です。
年度によって,順位が変わるようなものも基本的に出題されません。
年代別の医療費で合わせて覚えておきたいものがあります。
70歳以上は50%
75歳以上は40%
さらに一人当たりの医療費も覚えておきたいです。
65歳未満は約30万円
65歳以上は約70万円
70歳以上は約80万円
75歳以上は約90万円
それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。
1 国民医療費には,特定健康診査・特定保健指導の費用が含まれる。
国民医療費の対象となるものは,医療保険制度,後期高齢者医療制度,公費負担医療制度による給付,それに患者の一部負担等です。
傷病の治療費に限っているため,以下のものは含まれません。
(1)正常な妊娠・分娩に要する費用
(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断,予防接種等に要する費用
(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用
特定健康診査・特定保健指導は,「(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断,予防接種等に要する費用」にあたります。
2 国民医療費は,患者が医療機関で直接支払う一部負担金を差し引いて推計したものである。
国民医療費は,患者が医療機関で直接支払う一部負担金も合算したものです。
3 国民医療費には,保険適用外で請求される補装具の費用が含まれる。
保険適用外で請求される補装具の費用は含まれません。
4 財源別国民医療費では,公費の割合が保険料の割合よりも大きい。
財源別では,保険料が最も多くなっています。
わが国の医療保障は,社会保険制度を取り入れています。そのため,保険料が最も大きくなるように制度が設計されているからです。