2021年1月31日日曜日

様々なアプローチが影響を受けた理論

様々なアプローチは,毎回必ず出題されます。しかも複数問出題されます。

 

それにもかかわらず苦手な人がいるのは極めて残念なことです。

 

必ず出題されることがわかっているのですから,「苦手だ」なんてのんきなことは言わず,確実に押さえておきたい筆頭です。

 

さて,今回は,様々なアプローチに影響を及ぼしている理論を学んでいきたいと思います。

どの参考書にも必ず書かれているものだと思いますが,ここで簡単にまとめておきたいと思います。

 

主なアプローチ

アプローチ名

援助方法

影響を与えた主な理論

提唱者

心理社会的アプローチ

「状況の中の人」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わっていく。

精神分析理論

ホリス

機能的アプローチ

ワーカーの所属する機関の機能を活用して,クライエントの意志で問題解決できるように援助する。

意志心理学(自我心理学の一派)

タフト

ロビンソン

スモーリー

問題解決アプローチ

クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する

役割理論

コミュニケーション理論

パールマン

課題中心アプローチ

クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

精神分析理論,役割理論,学習理論など

リード

エプスタイン

危機介入アプローチ

危機状態に陥っている人に対して早期にかかわり,危機に対して対処能力を高める。

危機理論,心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)

ラポポート

行動変容アプローチ

学習理論を活用して,クライエントの問題となる行動を消去や強化することにより,問題行動全体の変容を図る。

学習理論

トーマス

エンパワメントアプローチ

クライエントが抑圧された状況を認識して,潜在能力に気づいて,対処能力を高められるようにかかわる。

ソーシャルアクション

ソロモン

ナラティブアプローチ

クライエントが語るストーリーを重視して,新たな意味の世界を創り出すことを援助する。

物語理論

社会構成主義

ホワイト

エプストン

解決志向アプローチ

クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

短期療法(ブリーフセラピー)

シェザー

バーグ

フェミニストアプローチ

女性にとっての差別や抑圧などの社会的な現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。

女性主義(フェミニズム)

不明

実存主義アプローチ

利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

実存主義

クリル

エコロジカルアプローチ

「人と環境」の交互作用に着目した援助法

システム理論

ジャーメイン

ギッターマン


心理社会的アプローチから課題中心アプローチまでは,モダニズム系のアプローチです。

 

モダニズムとは,もともとは現代風という意味ですが,科学的といった文脈で使われます。

 

エンパワメントアプローチ以下は,ポストモダン系(ポストモダニズム系)です。

ポストモダン系の代表は,ナラティブアプローチです。

 

ナラティブアプローチの基盤となる社会構成主義は,事実は事実としてあるのではなく,人の認識によって事実は変わることを意味しています。

 

語りを通して新しい認識の世界を作り上げていきます。

 

ワーカーは無知の姿勢でクライエントの話を聞くところに特徴があります。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題101 行動変容アプローチに最も大きな影響を及ぼした理論として,正しいものを1つ選びなさい。

1 エリクソン(EriksonE.)の心理社会的発達理論

2 フロイト(FreudS.)の精神分析理論

3 スキナー(SkinnerB.)の学習理論

4 ホワイト(WhiteM.)の物語理論

5 ゴフマン(GoffmanE.)の役割理論

 

 

答えは,すぐにわかりますね。選択肢3です。

 

3 スキナー(SkinnerB.)の学習理論

 

行動変容アプローチは,不適切な行動は不適切な学習の結果だと考え,学習理論によって,行動を強化したり,弱化したりします。

 

例えば,オペラント条件づけでは,適切な行動に関して,ほめることで,行動を強化します。

 

これを「正の強化」といいます。

 

オペラント条件づけとレスポンデント条件づけ

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/05/blog-post_4.html

 

それでは,ほかの選択肢も確認します。

 

1 エリクソン(EriksonE.)の心理社会的発達理論

 

心理社会的発達理論に影響を受けているのは,危機介入アプローチです。

危機介入アプローチは,危機理論にも影響を受けています。

 

 

2 フロイト(FreudS.)の精神分析理論

 

精神分析理論に影響を受けているのは,心理社会的アプローチです。

 

精神分析理論を活用して,無意識の領域に抑圧されていたものを治療していきます。

コミュニケーションを通して,パーソナリティの変容を目指していくので,とても時間がかかります。

 

4 ホワイト(WhiteM.)の物語理論

 

物語理論に影響を受けているのは,ナラティブアプローチです。

 

5 ゴフマン(GoffmanE.)の役割理論

 

役割理論に影響を受けているのはいくつかのアプローチがありますが,代表的なのは,問題解決アプローチです。

 

問題解決アプローチは,クライエントが自ら解決できるように援助するものです。そのため,クライエントが問題を解決する役割を演じてくれないと問題解決アプローチは使えません。

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