2021年5月10日月曜日

福祉サービス第三者評価事業

今回は,福祉サービス第三者評価事業を取り上げます。

 

この事業の根拠は,社会福祉法です。

 

(福祉サービスの質の向上のための措置等)

第七十八条 社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。

 

2 国は、社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならない。

 

このように,自己評価することは現在のところ,努力義務です。

 

第三者評価も現在のところは,基本的に努力義務です。

 

ただし,児童福祉法に基づく児童福祉施設のうち

・児童養護施設

・乳児院

・母子生活支援施設

・児童心理治療施設

・児童自立支援施設

 

には3年に1度の受審が義務づけられています。

ただし,受審を義務づけているのは社会福祉法ではなく,「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」です。

 

福祉サービス第三者評価事業の仕組みは以下のようになっています。

 

都道府県が都道府県推進組織を指定します。

 

多くの場合は,都道府県社会福祉協議会が指定を受けているようです。

 

都道府県推進組織は

・評価基準を作ること。

・評価者研修(養成研修及び継続研修)を実施すること。

・第三者評価機関を認証すること。

 

を行います。

 

都道府県推進組織が実施する研修を受講した人が,第三者評価機関に所属して,福祉サービス事業所を評価します。

 

評価結果を都道府県推進組織に報告します。

 

都道府県推進組織は結果を公表するとともに,WAMNETに情報を提供して,WAMNETではその結果を公表します。

 

 

それでは今日の問題です。

 

第30回・問題41 福祉サービス第三者評価事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 評価調査者は,養成研修を受講し,修了していなければならない。

2 評価機関の認証は,全国社会福祉協議会が行っている。

3 評価結果を公表することが,社会福祉法で義務づけられている。

4 株式会社などの営利法人は,評価機関となることができない。

5 評価に当たっては,社会福祉法で利用者調査の実施が,義務づけられている。

 

この問題は,「福祉サービス第三者評価事業」をある程度知っておかないと正解するのは難しいように思います。

 

なぜなら正解は,

 

1 評価調査者は,養成研修を受講し,修了していなければならない。

 

だからです。

解答テクニックを駆使すると,この選択肢は消去されてしまいます。

 

そして,残るのは,選択肢2になってしまいます。

 

それでは,解説です

 

2 評価機関の認証は,全国社会福祉協議会が行っている。

 

前説のように,評価機関の認証は,都道府県推進組織が行います。

 

 

3 評価結果を公表することが,社会福祉法で義務づけられている。

 

このような義務づけはありません。

 

 

4 株式会社などの営利法人は,評価機関となることができない。

 

評価機関は法人格を有していて,要件を満たしていれば営利法人もなることができます。

 

5 評価に当たっては,社会福祉法で利用者調査の実施が,義務づけられている。

 

法に規定されているのは,自己評価の努力義務です。

 

このような規定はありません。

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