今回は,障害者総合支援法に基づく就労支援を学んでいきたいと思います。
障害者総合支援法の自立支援給付は,大きく分けると「介護給付」と「訓練等給付」があります。
就労支援は,この中の訓練等給付に含まれます。
訓練等給付の種類
サービス名 |
内容 |
自立訓練 |
障害者につき、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、厚生労働省令で定める期間にわたり、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。 |
就労移行支援 |
労を希望する障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。 |
就労継続支援 |
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。 |
就労定着支援 |
就労に向けた支援として厚生労働省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。 |
自立生活援助 |
施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者その他の厚生労働省令で定める障害者が居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、当該障害者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める援助を行うことをいう。 |
共同生活援助 (グループホーム) |
障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うことをいう。 |
就労継続支援には,原則,雇用継続を結んで利用するA型と雇用継続を結ばないで利用するB型があります。
訓練等給付には,訓練等給付すべてのサービスではないですが,暫定支給というものがあるのが特徴です。
暫定支給で,とりあえず利用してみて,それで合うかどうかをアセスメントして,本支給を決定します。
暫定支給は,介護給付にはない仕組みです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題59 「障害者総合支援法」に基づく就労継続支援A型のサービスの利用に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定が必要である。
2 暫定支給決定の仕組みがある。
3 サービスの利用者負担は不要である。
4 利用者は,通常の事業所に雇用されることが可能な障害者でなければならない。
5 利用期間について法令上の定めがある。
就労支援でも,就労継続支援A型に限定した内容の問題です。
きっちり覚えていないと正解するのは難しいかもしれません。
答えは,前説からわかると思いますが,一応解説します。
1 障害支援区分の認定が必要である。
障害支援区分認定が必要なのは,介護給付です。
訓練等給付を利用するときは必要とされません。
ただし,共同生活援助を利用する場合で,介護が必要な場合は,障害支援認定が必要です。
2 暫定支給決定の仕組みがある。
これが正解です。
3 サービスの利用者負担は不要である。
利用者負担はもちろんあります。現在は応能負担となっていますが,障害者自立支援法ができた時は,応益負担でした。
同じ就労支援でも,障害者雇用促進法に基づくサービスを利用する場合は,利用料は必要とされません。
4 利用者は,通常の事業所に雇用されることが可能な障害者でなければならない。
通常の事業所に雇用されることが可能な障害者であれば,就労継続支援を利用する必要はないでしょう。
就労継続支援
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供する
5 利用期間について法令上の定めがある。
A型,B型ともに利用期間について法令上の定めはありません。
利用期間の定めがあるのは就労移行支援です。
就労移行支援に利用期間の定めがある理由は,一般就労するための職業能力を判断するためのアセスメント期間だからです。期間を区切って利用します。
一般就労に移行できれば,その後,就労定着支援を利用して,定着支援を図ります。
一般就労に移行できなければ,就労継続支援を利用します。