今回は,身体障害者更生相談所と知的障害者更生相談所を取り上げたいと思います。
根拠法は,それぞれ身体障害者福祉法と知的障害者福祉法です。
以下のように規定されています。
〈身体障害者更生相談所〉
設置 |
都道府県は、身体障害者更生相談所を設けなければならない。 |
業務 |
・市町村の援護の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。 ・各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。 ・身体障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。 ・身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。 ・補装具の処方及び適合判定を行うこと。 など |
〈知的障害者更生相談所〉
設置 |
都道府県は、知的障害者更生相談所を設けなければならない。 |
業務 |
・市町村の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡及び調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。 ・知的障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。 ・18歳以上の知的障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。など |
いずれも,必要に応じて,巡回して業務を行うことができるという規定があります。
そして,身体障害者更生相談所には身体障害者福祉司,知的障害者更生相談所には知的障害者福祉司をおかなければなりません。
それでは,今日の問題です。
第30回・第45回 社会福祉等に係る法定の機関に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県は,発達障害者支援センターを設置しなければならない。
2 都道府県は,身体障害者更生相談所を設置しなければならない。
3 市町村は,児童相談所を設置しなければならない。
4 市町村は,婦人相談所を設置しなければならない。
5 市町村は,保健所を設置しなければならない。
知識がなければ,正解するのは難しい問題です。
こういった問題が,国試にふさわしいものだと思います。
聞いたこともないようなものを含めて出題して,受験生を混乱させるのはあまりよくないと思うからです。
この中で迷うのは,発達障害者支援センターでしょう。
それでは,解説です。
1 都道府県は,発達障害者支援センターを設置しなければならない。
発達障害者支援センターは,発達障害者支援法が規定するものです。
設置するのは都道府県で正しいですが,義務ではなく,任意設置です。
2 都道府県は,身体障害者更生相談所を設置しなければならない。
これが正解です。
3 市町村は,児童相談所を設置しなければならない。
児童相談所は,児童福祉法が規定するものです。
設置するのは,都道府県及び指定都市です。
4 市町村は,婦人相談所を設置しなければならない。
婦人相談所は,売春防止法が規定するものです。DV防止法ではないところに注意です。
設置するのは,都道府県です。
5 市町村は,保健所を設置しなければならない。
保健所は,地域保健法が規定するものです。
設置するのは,都道府県,指定都市,特別区です。
<今日の一言>
市町村は,ひとまとめにして考えないことが混乱しないコツです。
人口20万人の市は,中核市となることができるので,一般の市は20万人未満と考えることができます。
一方,町村のうち特に村は小規模な自治体です。離島の小さい村では人口200人というところもあります。
混乱しそうになったら人口200人の村を思い出すと良いです。そこでできることは限られます。