2021年5月7日金曜日

NPO法人の設立

特定非営利活動法人(NPO法人)の設立は,要注意です。


社会福祉法人,医療法人を設立する際には,所管庁の認可が必要ですが,NPO法人は,所管庁の認定によって設立できます。


「認可」よりも「認定」の方が設立にあたっては簡単です。


必要事項が書かれた書類がそろっていることで,認定を受けることができるからです。


それでは今日の問題です。


第30回・問題38 地域福祉に係る組織・団体に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の収益事業を行うことを禁止されている。

2 市町村社会福祉協議会は,社会福祉法で地域福祉活動計画を策定することが義務づけられている。

3 共同募金会は,市町村を単位に設立されている。

4 消費生活協同組合は,福祉に関する事業を行うことができる。

5 特定非営利活動法人は,市町村の認可により設立できる。


この問題は難しそうに見えますが,実は簡単な問題です。


もちろん少々の知識は必要です。


正解は,選択肢4です。


4 消費生活協同組合は,福祉に関する事業を行うことができる。


難しく考えるとわけがわからなくなるかもしれませんが,「福祉に関する事業」とだけ書かれているだけで,第一種社会福祉事業と書いているわけではありません。


第一種社会福祉事業の経営主体(原則)


・国

・地方公共団体

・社会福祉法人


それに対して,第二種社会福祉事業は多様な法人が経営することができます。


その中には,消費生活協同組合も含まれます。


しかし,そんなことを考えずとも,「福祉に関する事業」なのですから,関連するものなら何でも良いのです。


例えば,食事の「宅配サービス」などがあるでしょう。弁当を作れるなら,配達員が確保できれば可能です。その際に,合わせて安否確認サービスを行うこともできます。


多くの生協が実施している訪問介護も福祉に関する事業だと言えるでしょう。


「介護保険サービスは社会保険サービスであり,社会福祉サービスではない」と考えると本当にわけがわからなくなるかもしれませんが,そんな厳密な定義づけは考えることはありません。


生協店舗の空きスペースを使って行うご近所の有志による児童・生徒への学習指導,高齢者の趣味活動支援,このほかにも様々なものができるでしょう。


念のために,消費生活協同組合の根拠法である「消費生活協同組合法」をもひもとくと


事業の種類

七 高齢者、障害者等の福祉に関する事業であつて組合員に利用させるもの


と規定されています。


しかし,こんなことを知らなくても,身近な生協の活動を考えると,この選択肢は正解であろうと判断できます。


それでは,ほかの選択肢も解説します。


1 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の収益事業を行うことを禁止されている。


社会福祉法人は,特別な届出などがなくても収益事業を行うことができます。


ここが医療法人とは異なる点です。医療法人は収益事業を行うことができず,収益事業を行うためには社会医療法人などに指定されなければなりません。


2 市町村社会福祉協議会は,社会福祉法で地域福祉活動計画を策定することが義務づけられている。


市町村社会福祉協議会では,地域福祉活動計画を策定していますが,何の法的根拠もありません。


余計な話ですが,社会福祉法に規定される地域福祉計画の策定は努力義務なのに,地域福祉活動計画に策定義務があるはずもありません。


3 共同募金会は,市町村を単位に設立されている。


共同募金会は,都道府県を単位に設立されます。


5 特定非営利活動法人は,市町村の認可により設立できる。


この選択肢には2つの誤りがあります。


①「認可」ではなく「認定」

②認定するのは,都道府県,あるいは指定都市です。

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