今回は,障害者総合支援法が規定している介護給付を取り上げます。
介護給付 |
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居宅介護 1以上 |
居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する。 |
重度訪問介護 4以上(入所等の場合は6) |
重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅又はこれに相当する場所として厚生労働省令で定める場所における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与する。 |
同行援護 3以上 |
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する |
行動援護 視覚障害であり,同行援護アセスメント表に該当すれば利用可 |
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する。 |
療養介護 6(ALSで気管切開で人工呼吸器利用している場合),筋ジスの場合は5以上 |
医療を要する障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、主として昼間において、病院その他の厚生労働省令で定める施設において行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話の供与。 |
生活介護 3以上(施設入所する場合は4以上) ※50歳以上の場合は,2以上(施設入所する場合は3以上) |
常時介護を要する障害者として厚生労働省令で定める者につき、主として昼間において、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設において行われる入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する。 |
短期入所 1以上 |
居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせ、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する。 |
重度障害者等包括支援 6 |
常時介護を要する障害者等であって、その介護の必要の程度が著しく高いものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅介護その他の厚生労働省令で定める障害福祉サービスを包括的に提供する。 |
施設入所支援 生活介護利用者は4以上(50歳以上の場合は,3以上) |
その施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する。 |
サービス名の下に書いてあるのは,障害支援区分です。この数字以上だと利用できます。
介護給付を希望する場合,障害支援区分認定を受ける必要があるのは,このようにサービスを利用する際の基準になるからです。
訓練等給付を利用する場合,共同生活援助(グループホーム)で介護が必要な場合以外は,障害支援区分認定を受ける必要がありません。
共同生活援助だけがちょっと複雑になっている理由は,障害者自立支援法の時代に介護給付に「共同生活介護(ケアホーム)」というものがあった名残りです。
障害者総合支援法になった際に,ケアホームはグループホームに統合されました。
もう一つ整理しておきたいことがあります。
障害者総合支援法は,18歳以上の障害者等を対象としています。
18歳未満の障害児は,児童福祉法の対象です。
しかし,児童福祉法では対応できないものがあるので,障害者総合支援法の介護給付でも利用できるものがあります。
利用できるのは,居宅系サービスのうち
・居宅介護
・行動援護
・同行援護
・重度障害者等包括支援
重度訪問介護は,15歳以上なら利用できます。
利用できないのは,入所系サービスと訓練等給付です。
入所系サービスは,児童福祉法で規定される「障害児入所支援」が対応しています。
訓練等給付は就労支援なので,児童には必要とされません。
それでは今日の問題です。
第30回・問題60 事例を読んで,この段階における相談支援事業所の相談支援専門員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されたEさん(30歳,女性)は,現在,病院に入院中であり退院を控えている。家族は夫と娘(8歳)で,近くに頼れる親戚はいない。Eさんの障害支援区分は現在のところ5であり,障害状況は四肢の運動麻痺があるが,徐々に全身に進行し,将来的には人工呼吸器装着の選択を迫られるとのことである。退院後は,在宅生活を強く希望している。
1 地域定着支援のサービスを利用し,退院支援を行う。
2 将来に備え,入院の継続を勧める。
3 夫に,仕事を辞め在宅介護に備えることを勧める。
4 喀痰吸引等が可能な事業所等の社会資源を把握する。
5 行動援護の利用を勧める。
この問題は,実に興味深いものです。
余計なことを考えなければ,正解はすぐ選べるはずですが,考え込むとサービス名がわからなくなり答えられなくなります。
正解は,選択肢4です。
4 喀痰吸引等が可能な事業所等の社会資源を把握する。
喀痰吸引等の医療的ケアは,居宅介護等で対応できますが,実施することができるのは,研修を受けて,認定特定行為業務従事者登録をしている者,あるいは,平成27年以降のカリキュラムで介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士になった者です。
Aさんには,今後人工呼吸器を装着することが迫られるとのことなどで,医療的ケアが必要となります。そのために医療的ケアに対応できる事業所を押さえておくことは重要です。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 地域定着支援のサービスを利用し,退院支援を行う。
Aさんは現在病院に入院中です。退院支援を行うなら地域移行支援です。
地域定着支援は,地域に移行した後に利用するサービスです。
2 将来に備え,入院の継続を勧める。
Aさんは,在宅生活を強く希望しています。入院の継続を勧めるのは,Aさんの意向に反します。
3 夫に,仕事を辞め在宅介護に備えることを勧める。
夫が仕事を辞めずにサービスを調整するのが,相談支援専門員の役割です。
5 行動援護の利用を勧める。
行動援護の対象は,知的障害者又は精神障害者です。
Aさんの外出支援は,重度訪問介護で対応します。