社会福祉法は,社会福祉の基本法です。
もともとは,社会福祉事業法だったこともあり,社会福祉事業,社会福祉法人などの規定があります。
福祉のプロパーとしては,社会福祉法は必ず押さえておきたいものです。
とは言うものの法律に慣れていないとなかなか簡単に読み込めないかもしれません。
さて,今日のテーマは,第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業です。
学校の先生によっては,丸暗記させる人もいるかもしれませんが,国家試験ではそんなに細かくは出題されません。
基本的には
第一種社会福祉事業 → 入所系サービス
第二種社会福祉事業 → 通所系サービス
この理解で十分です。
ただし,この原則に合わないものがあります。
共同募金 → 第一種社会福祉事業
無料低額宿泊所 → 第二種社会福祉事業
第一種社会福祉事業の経営主体(原則)
・国
・地方公共団体
・社会福祉法人
それに対して,第二種社会福祉事業は多様な法人が経営することができます。
このために,共同募金は第一種社会福祉事業である必要があります。
ここで近年,問題となったのが,貧困ビジネスとしての「無料低額宿泊所」の悪用です。
第二種社会福祉事業は,事業開始の日から1か月以内に届けることで設置できて,事前の認可等は必要とされません。
そのため,法を改正して,無料低額宿泊所のように住居を用いる第二種社会福祉事業は,事業を開始する前に都道府県知事への届出を義務づけました。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題33 地域福祉への参加に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住民主体の地域福祉活動は,専門機関の支援を求めないで進めることが望ましい。
2 福祉公社などの住民参加型在宅福祉サービス団体は,介護保険制度を補完することを目的に設立された。
3 共同募金は,地域福祉の推進に関わる第一種社会福祉事業である。
4 特定非営利活動法人の活動分野は,「まちづくりの推進を図る活動」が最も多い。
5 介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は,都道府県が設置する。
ごちゃごちゃとさまざまなものが出題されていますが,正解はとてもシンプルです。
3 共同募金は,地域福祉の推進に関わる第一種社会福祉事業である。
共同募金が第一種社会福祉事業であるのか,第二種社会福祉事業であるのかを問う問題は,これまで何度出題されたかわからないくらいにとても多いです。おそらく10回以上はあるでしょう。
共同募金は,第一種社会福祉事業です。
一応そのほかの選択肢にも触れておきます。
1 住民主体の地域福祉活動は,専門機関の支援を求めないで進めることが望ましい。
国家試験では,「望ましい」は,正解になりにくい傾向があるようです。
もちろんこんなことは望ましくはないです。必要なものは必要に応じて活用します。
2 福祉公社などの住民参加型在宅福祉サービス団体は,介護保険制度を補完することを目的に設立された。
福祉公社は,現在はだんだんなくなっていく傾向がありますが,1990年(平成2年)の福祉関係八法改正によって,在宅系サービスが第二種社会福祉事業に位置づけられたことで,この実施主体として,福祉公社は設立されていきました。
福祉公社は,老人福祉法によるサービスを提供しているので,現在は介護保険制度を補完しているような形になっていますが,設立はそれよりも前のことです。
介護保険制度ができて,結果的に補完するような形になっただけです。
4 特定非営利活動法人の活動分野は,「まちづくりの推進を図る活動」が最も多い。
NPO法人の活動分野は,現在のところ20分野に限定されています。
そのうち,最も多いのは「保健,医療または福祉の増進を図る活動」です。全体の6割がこの活動を定款に定めています。
参考書では,20分野の割合を記述しているものもありますが,2番目以下を問われることはまずないので,トップは「保健,医療または福祉の増進を図る活動」と覚えておけば十分です。
5 介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は,都道府県が設置する。
介護保険制度の地域密着型サービスの運営推進会議は,地域密着型サービス事業所が地域住民等に対してサービス内容を説明するために開催するものです。
同会議の設置は,事業所自らが行います。
ちょっと難しそうだと思う人もいるかもしれませんが,地域密着型サービスは,市町村が指定・監督するものです。
会議のことは知らなくても,地域密着型サービスは都道府県がかかわるものではないので,正解ではないだろうと推測することができるでしょう。