今回は,法の所管について考えたいと思います。
社会福祉士の国家試験で出題される主な法律は,厚生労働省が所管しています。
そのほかには,内閣府が所管しているものもあります。
〈内閣府が所管する代表的な法制度〉
・障害者基本法 ・子ども・子育て支援法 |
この2つに共通するものは何か見つけられますか?
答えは,省庁をまたぐ施策が求められるものです。
雇用は,経済産業省など
交通は,国土交通省
教育は,文部科学省
といった省庁が担当していますが,こういった省庁が協力しないと実現しません。
障害者基本法は,国際協調も求められているので,もしかすると外務省も関係するかもしれません。
今日の問題はかなり難しいです。
第30回・問題46 次の記述のうち,厚生労働大臣の役割として,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定める。
2 都道府県が老人福祉計画に確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるに当たって従うべき基準を定める。
3 障害者基本法に規定される障害者基本計画を作成しなければならない。
4 市町村が市町村地域福祉計画を策定する際に参酌すべき基準を定める。
5 子ども・子育て支援事業計画の基本的な指針を定める。
前説の知識で消去できるのは,
3 障害者基本法に規定される障害者基本計画を作成しなければならない。
5 子ども・子育て支援事業計画の基本的な指針を定める。
の2つです。
これらは,内閣府が所管しています。
迷うのは,
1 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定める。
2 都道府県が老人福祉計画に確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるに当たって従うべき基準を定める。
4 市町村が市町村地域福祉計画を策定する際に参酌すべき基準を定める。
ここでちょっと補足します。
基準
標準
参酌
基準は,設備や人員など,拘束力の高いものを定めるときに用います。
これらは地域によって差があっては困るから基準を定めて「従わせ」ます。
標準は,施設の定員など,地域の実状に合わせて変化させることができるものです。
参酌は,地方公共団体が参考にするものです。
これはいっぱいあります。
2 都道府県が老人福祉計画に確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるに当たって従うべき基準を定める。
これは,地域によってニーズが異なります。
定めるのは,「参酌する標準」です。
4 市町村が市町村地域福祉計画を策定する際に参酌すべき基準を定める。
地域福祉計画に関しては,国が関与するものはありません。
ということで正解は選択肢1です。
1 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定める。
これだけを見れば,全然難しいと思わないと思いますが,ほかの選択肢が混じると難しくなります。
これが国試の怖いところです。