地方公共団体の根拠法は,地方自治法です。
同法では,地方公共団体の事務については以下のように定めています。
自治事務 法定受託事務以外のもの。 |
法定受託事務 別表に掲げるもの。 |
圧倒的に自治事務の方が多いです。
参考書などでは,機関委任事務,団体事務,団体委任事務など以前のものなども紹介されているものもありますが,そんなものを覚えることはないと思います。
そういったものを覚えると混乱する元です。
地方公共団体の事務は「自治事務」&「法定受託事務」の2つです。
これで十分です。
以前の団体委任事務,団体事務,機関委任事務などを正解にする試験委員がいたとすると,その試験委員は頭がどうかしています。
それでは今日の問題です。
第30回・問題42 現行の地方公共団体の事務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の事務は,機関委任事務,法定受託事務,自治事務の3つに分類される。
2 社会福祉法人の認可事務は,自治事務である。
3 生活保護の決定事務は,法定受託事務である。
4 児童扶養手当の給付事務は,自治事務である。
5 養護老人ホームへの入所措置は,機関委任事務である。
すぐさま消去できるのは,選択肢1と5です。
その理由はわかりますね?
自治事務と法定受託事務とは
法定受託事務は,基本的に全国一律の基準によって行うものだと覚えると良いです。
自治事務はそれ以外のものです。
それでは解説です。
1 地方公共団体の事務は,機関委任事務,法定受託事務,自治事務の3つに分類される。
地方公共団体の事務は「法定受託事務」と「自治事務」の2つです。
2 社会福祉法人の認可事務は,自治事務である。
社会福祉法人の認可事務は,法定受託事務です。
3 生活保護の決定事務は,法定受託事務である。
これが正解です。生活保護の決定事務は,法定受託事務です。
この選択肢でわざわざ「決定事務は」と限定しているのは,生活保護法の目的のうちの「最低限度の生活保障」にかかわるものは法定受託事務ですが,自立の助長にかかわるものは自治事務なのです。
4 児童扶養手当の給付事務は,自治事務である。
児童扶養手当の給付事務は,法定受託事務です。
5 養護老人ホームへの入所措置は,機関委任事務である。
養護老人ホームへの入所措置は,自治事務です。
<今日の一言>
今回から科目は「福祉行財政と福祉計画」に移りましたが,この科目は,2021年度から始まった新しいカリキュラムではなくなりました。
この科目を苦手にしている人は多いですが,国家試験の実施回数が多くなった今は出題ポイントが明確になってきました。
今はきっちり勉強すれば,点数が取りやすい科目の一つになっています。