今回は,社会化を詳しく学びます。
社会化とは,社会に対応するために社会のルールなどを内面化することをいいます。
一次的社会化は,人生最初の社会化の段階です。小さな子どものときに社会のルールを学ぶ過程です。一次的社会化の主な担い手は家族です。
二次的社会化は,学校などで学ぶ社会のルールを学ぶ過程です。二次的社会化の主な担い手は,学校や地域社会です。
予期的社会化は,社会に出る最終的な準備の段階です。将来は医師になりたい,アイドルになりたい,教師になりたい,という将来像によって,学ぶべき内容が異なります。
予期的社会化の主な担い手は,準拠集団です。
準拠集団は,前回学びました。
https://fukufuku21.blogspot.com/2021/09/blog-post_23.html
それでは,今日の問題です。
第22回・問題19 「社会化」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 乳幼児期,児童期など子どもの発達の初期において,家族は重要な社会化の担い手である。
2 社会化の過程でジェンダー規範の内面化が始まるのは,思春期である。
3 社会化の過程は,乳幼児期から青年期に至るまでに完了する。
4 社会化は世代間の対立を導き,文化の継承を阻害する。
5 社会化は,人と人との直接的な相互行為の中でのみ生じる。
ここで注意を一つします。
用語の意味は,おおよそをつかむことができれば,それで良しとします。
真面目な人は,勉強の過程で知らないことが出てくると調べると思いますが,国家試験の会場では調べることもできません。人に聞くこともできません。
意味がわからないと思うと混乱し,ミスする原因です。
もしこの問題で,社会化という意味がわからないと思うと,冷静に考えることができなくなってしまうことでしょう。
もともと心理学や社会学などの用語は,誰かがそう述べたにすぎません。
自然科学は
1日は約24時間である。
インスリンは,膵臓のランゲルハンス島から分泌される。
といったように,誰の目にも明らかですが,心理学や社会学のような学問領域のものは,誰かが定義づけなければ,その現象をとらえることもできません。
それでは,解説です。
1 乳幼児期,児童期など子どもの発達の初期において,家族は重要な社会化の担い手である。
前説で述べたように,一次的社会化の主な担い手は家族です。
ということで,これが正解です。
2 社会化の過程でジェンダー規範の内面化が始まるのは,思春期である。
ジェンダー規範とは,男性はこういうものである,女性はこういうものである,といった社会的性差に関する社会のルールです。
ジェンダー規範の内面化とは,ジェンダー規範を受け入れることを意味しています。
女の子は人形で遊ぶ,男の子は車のおもちゃで遊ぶ,女の子はスカートをはく,男の子はスカートははかない,といったジェンダー規範は,生まれたその日から始まっていると言えるでしょう。
3 社会化の過程は,乳幼児期から青年期に至るまでに完了する。
社会化は,死ぬまで続きます。
たとえば,定年になった後,会社とは別な世界で生きていくことになります。
属する社会になじむために,社会化が求められます。
4 社会化は世代間の対立を導き,文化の継承を阻害する。
社会化は,社会のルールを学ぶものです。
その地域社会のルールを学ぶことも社会化です。
15歳になったら,お祭りで神輿担ぎをするといった伝統がある地域で,自分はいやだと拒否すると気まずかったりすることもあるでしょう。
参加すれば,文化の伝承が促進されるでしょう。年長者からさまざまなことを学ぶこともできます。
5 社会化は,人と人との直接的な相互行為の中でのみ生じる。
「のみ」はわかりやすいので,近年の国試ではなるべく使わないようにしているみたいです。
お祭りの神輿担ぎに参加せずとも,その周りで見ていても,ルールは学べます。
このように間接的であっても社会化されます。